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【Japan VR Summit】コンテンツへの投資に対する問題点とは 投資家から見たVR戦略を取材

2016年05月11日 11時32分更新

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5月10日、東京・品川グランドセントラルタワーにて、グリーと一般社団法人VRコンソーシアムが主催する「Japan VR Summit」が開催された。VR業界の第一線で活躍する国内外の人物をゲストに迎え、さまざまなセッションが行われた本カンファレンス。本稿では、セッションのひとつ、「投資家から見たVR戦略」の模様をお届けする。

 

■VRの先には、ARの市場も見えてくる


このセッションには、gumiの代表取締役社長・國光宏尚氏がモデレーターとして登壇。さらにパネリストには、グリーの青柳直樹氏、コロプラネクストの山上愼太郎氏、そしてVRを支援するためのファンドを立ち上げたアメリカのベンチャーキャピタル「Presence Capital」よりAmitt Mahajan氏も登壇した。


▲國光宏尚氏


▲青柳直樹氏
 

▲山上愼太郎氏
 

▲Amitt Mahajan氏


VRといえば2016年はその元年とも言われる、ヘッドセットを介したバーチャルリアリティシステムだ。「Oculus Rift」や「Gear VR」、さらにこの秋にはPS4向けの「PS VR」の登場も予定されている。國光氏によると、今後は中国などの外国企業からベンチャーまで、さまざまなメーカーがデバイスを開発し、益々盛り上がるのでは、という見解も示した。また、VRが成功した先には、拡張現実(AR)と融合したMixed Realityの世界も待っていると期待されている。
 

加えて國光氏は、PC、スマートフォンに続く「サードウェーブ」になる可能性も秘めていると話す。VRごしにインターネットができるようになり、「スマートフォンがいらない世界になるかも」と國光氏は話していた。
 

 
そんな中、すでにVRやARでのインターネットを実現しているのでは、と言われているのが、グーグルが支援する企業マジック・リープだ。会場では、このマジック・リープの話題を中心に、VRとARのし上はどちらが先に形成され、巨大化していくかが語られた。
 
ここで口を開いたのは山上氏だ。同氏は現状「ARと聞いたら詐欺だと思え」との認識を持っているそうで、コロプラグループ全体としてはARに対するリスクヘッジもしているが、VRのほうが先に市場を形成すると見ているとのこと。一方、グリーの青柳氏は別の予想をしており、「ARとVRが統合した市場が伸びていくのでは」というのだ。優劣がつくのではなく、互いに成長させ合っていく考えだ。

ただし、成長させるためにはユーザーに魅力を届け、勝ちを信じさせていく必要がある。そこに関しては「VRが先を行っている」と語っていた。というのも、ARはマジック・リープ以外に投資が見えないからだ。青柳氏は「VRですらまだまだ時間がかかるのに…」と話すと、続けて「3年後くらいにAR元年が来るのでは」と予想を立てる。VRだけでも魅力的な市場ではあるが、その3年後にはARでも利益が見込めるようになると展望を語った。
 
 

■コンテンツへの投資に対する問題点とは


続いて國光氏がテーマに挙げたのは、VRで展開するコンテンツだ。スマートフォンでは最初からアプリが充実していたわけではなく、ハードウェアが進化するに連れて徐々にコンテンツが揃って行った。VRも既存のコンテンツを使い回せるわけではないので、苦労する部分も多いはずだ。
 
コンテンツ不足の問題についてAmitt氏は、コンサートや、そのチケットセールに注目していると発言。コンサートをVRで見せる360度カメラは、ビジネスとしても可能性を感じると語った。また、単純にコンサートを行う際のライセンスもビジネスを見る上では重要だ。加えて、既存のコンテンツにも可能性があると語る。例えばヘッドセットをビッグスクリーンとして活用し、巨大スクリーンでゲームや映像を楽しむ。このように既存のコンテンツを使えば、生産性も上がり、投資家としても投資をしやすい環境になる。
 

青柳氏は投資家視点から、「ハードウェアから投資が埋まっていかないと、ソフトウェアまで行き届かない」と述べる。どのプラットフォームでも、独自の体験を示せれば問題ないが、コンテンツを作るための金額が非常に高いことがネックになる。また、デバイスの中には現実的な出荷台数の数字が見えていて、過剰投資になってしまうのではと懸念もあり、これがVR市場の目下の問題となる。青柳氏は、「開発費用を現実的なラインに下げてくれる、Unityなどのエンジンに注目したい」と展望を語った。
 
山上氏は投資の際の注目ポイントとして、「コンテンツを作るためのツールを開発する会社は売上を残しやすい」と語った。そして、コンテンツはIP含めてポジションを築けば大きいため、しっかりと投資しなければいけないとの持論も展開。この先は、ヘルスケアやトレーニングなど、既存の業種と組み合わせることで、日本が世界を大きくリードできるのではと話す。
 
青柳氏が注目するのはスポーツ分野だ。2月にはアメリカにて、FOXスポーツとNextVRがVR放送で提携することが発表された。青柳氏は、この流れは日本でも起こると予想しており、カンファレンス当日に発表されたグリーとフジテレビの提携も、この一環だという。國光氏も「NextVRのアジア版になれる」と期待を込めていた。
 
そんなアメリカでは、VRにおいてはゲームではなく動画のほうが強いとの見方もある。しかしAmitt氏は、あくまでもタイミングの問題であると述べる。動画は価値を認めるのが簡単だが、ゲームは体験してもらわないといけないので、時間もかかる。いずれはゲームも投資が追いつくと予想していた。

 

■日本ならではの広がり方も?

 
最後のトークテーマとなったのは、VRで挑戦、成功するための秘訣。まだまだ成長段階のVRに対する投資を行う際、役員レベルの人物から決断を得るまでが大きな壁になる。これを解決するためにも、「キーパーソンに良いと思わせるために、体験する場を設けること」が大切と青柳氏は語る。青柳氏自信も、VRの魅力を知ってもらうため、社長に実際にヘッドセットを被ってもらったという。

しかし、それでも欧米に比べて日本でのVR展開は遅い印象を持つ人も多い。山上氏も「日本ではまだまだ」としながらも、「今年PSVRも出て、一斉に動き出すのでは。我々も後押ししていきたい」と意気込みを語る。

一方のAmitt氏は、そもそも日本は遅れていないという見解を持っている。同氏は、かつては携帯電話などのデバイスも日本が先行していたことを例に、「日本でいろいろな広がり方をするのでは」と期待の言葉を口にする。國光氏も日本人にしかできないコンテンツに期待しているそうで、バンダイナムコエンターテインメントが開発する『サマーレッスン』には特に注目しているとのこと。

青柳氏は、投資家の出し手が圧倒的に多いことから、「アメリカ市場のほうがチャンスは大きい」と現状を分析する。しかし、無理にアメリカへ進出しても人件費など、現地にいることによるディスアドバンテージも生まれてしまう。そのため、日本ならではの戦い方が求められるという。日本はアメリカに比べて情報の入りが遅く、それも日本人にとって不利な側面がある。「情報の遅れを埋めて、日本なりの戦い方ができるように整えたい」というのが青柳氏の掲げた目標だ。
 

セッションも終盤に差し掛かると、青柳氏は「2018年までは市場の成長も遅い」と予想を立てる。逆に、2018年からは大幅な成長を見込めるため、それまでのサバイバル戦略が必須になるという。もちろんその間に資金調達も必須になるが、BtoCに限らずBtoBなどの需要も見てみることが大切になるとのこと。また、アーケードゲームも未だに大きな市場を持っているので、あらゆる分野にアンテナを張ることが成功の秘訣だ。

また國光氏は、他よりも早くマーケットに入ることが重要だと説く。これはガラケー時代に成功しすぎて、スマートフォンの参入に遅れた経験があるからだという。市場が成り立ってからのスタートアップでは遅く、それまで粘り強く張ることの重要性を説明した。
 
そしてAmitt氏は、「アメリカの投資家は、どうしたら資金を提供してくれるか」という質問に対して、「市場の変化に対応できる、素晴らしいチームであること」と語った。VR市場は瞬く間に状況が変わっていくため、単なる技術のチームだけでなく、何ができるかを判断できることが大切だというのだ。さらに、どういったコンテンツを作ると、どの分野に刺さるかを見極めることもポイントのひとつであると語った。コンテンツと分野の相性を見極められたら、アメリカの投資家から資金を得るチャンスは十分あるとAmitt氏は締めくくった。
 
(取材・文:ライター  ユマ)

 




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