Japan VR Summit(JVRS)、ユニティ・テクノロジース・ジャパンに関するVRセミナー記事

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【Japan VR Summit】VRによって劇的に変化する開発環境 未だ残る問題と、乗り越えるための対策も

2016年05月12日 14時00分更新

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5月10日、東京・品川グランドセントラルタワーにて、「Japan VR Summit」が開催された。「Japan VR Summit」は、グリーと一般社団法人VRコンソーシアムが共同開催する国内最大級のVRカンファレンスイベントだ。
 
本稿では、モデレーターにリブゼント・イノベーションズの橋本善久氏、パネリストにユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの伊藤周氏、エピック・ゲームズ・ジャパンの下田純也氏、日本AMDの西川美優氏と、合計4名が登壇したセッション「VR開発者を支える最新技術動向」の内容を紹介する。

 

■VR EDITORによって、開発にも大きな変革



登壇者の自己紹介が終わると、まず語られたのはVRで変わっていく開発環境だ。ここで橋本氏が紹介したのは、 Google製作の空間ペイントツール『Tilt Brush』だ。これはVR空間上で3Dペイントが行えるソフトで、立体的な絵を簡単に作れることで注目を集めている。橋本氏はこのようなVR Editorが、今後の開発でもカギになると感じているという。また西川氏も『Tilt Brush』のことを絶賛しており、「VRが来ると確信したタイトル」とかあっていた。
 

▲橋本善久氏


▲伊藤周氏


▲下田純也氏


▲西川美優氏


そのほか、VR対応は発表されていないものの、Media MoleculeがPS4で開発を進める「DREAMS」も、「VRでも楽しませてくれるのではないか(橋本氏)」と期待を込めた。「DREAMS」はPS MOVEで操作するデモムービーが公開されており、直感的なクリエイティブを実現している。伊藤氏はこれらのソフトを総括して、「ユーザージェネレーテッドコンテンツがVR普及のうえで重要になるのでは」との認識を語った。同じく下田氏や西川氏もクリエイティブを楽しむコンテンツがVRと相性が良いと考えているそうで、特に奥行きを感じやすいことが、利用者の利点になるという。

下田氏はさらに、PS MOVEをはじめとした入力デバイスを各メーカーが揃えていることも大きいと語る。エピック・ゲームズでは現在、3D空間で物を配置し、街を作成するゲームを開発中とのこと。ここでも入力デバイスは活躍し、特に「拡大・縮小が簡単にできるため、だれでも空間を把握できる」ことが今までにない面白さに繋がっているとか。
 

伊藤氏が所属するユニティでも街を作るゲームのデモを制作しており、こちらは視線でロックオン、指で弾いて建物を移動させるなど、独自のインターフェイスにも挑戦しているという。伊藤氏は「マウスでは難しい操作もできるので、コンテンツクリエイションとして有用。開発でも使いやすいです」と魅力を語った。

橋本氏はVR Editorが発展し、ゲーム開発の現場でも本格的に取り入れられる未来が来ると予想する。「開発メーカーのスタッフが、ヘッドセットを被りっぱなしの時代がくるのでは」というのが橋本氏の言葉だ。もちろんそんな未来のためには乗り越えるべきハードルも多く、ひとつがキーボードの存在である。円滑な文字入力とVRは本来相性の悪いものだが、逆に言えばこれが解決し、プログラマが被り続けられる世界になったら、それが完成形であると登壇者は口を揃えた。

 

■多彩なデバイスをどう使い分けていくのか



 
一言でVRと言っても、コンテンツを楽しむためのデバイスは多種多彩だ。PS VRやOculus Rift、VIVEといったハイエンド向けから、ミドルエンドのGear VR、そしてスマートフォンでも利用できるローエンド向けのハコスコ、Google Cardboardなどがある。

伊藤氏はミドルエンド以下とハイエンドで大きく分けられており、両方の領域にまったく同じものを作るのは難しいと話す。解決策のひとつとして、コンセプトは同じでも、ローエンド向けの販促版を作るといった案を提示した。

一方下田氏によると、エピック・ゲームズが開発するUnreal Engineはすべてのデバイスに対応可能であるという。現在はハイエンドに特化しているが、ローエンドにも近々サポートを始めると話した。ただし、パフォーマンスはまったく違うので、ローエンド向けのノウハウを蓄積する必要性も説明していた。

また、西川氏が着目したのは、これから未来にさらなる高スペックのスーパーハイエンドデバイスが登場することだ。同氏はスーパーハイエンドが実現すれば、ヘッドセットを被っても現実と変わらない世界を体験できるように進化すると予想。しかし実現のためには、現在の100万倍ものGPUパワーが必要になると話す。目下の目標として、144フレームまで表現できるVRデバイスの開発を掲げる西川氏。途方もない数字のようで「意外と早くこの時代が来るのでは」との予想も立てていた。

一方で、急速に進化を遂げるデバイスに対して、メーカーが頭を悩ませる現状もある。これから参入するメーカーは、今後どう進化するかを想像することも大切だ。

 

■コンテンツ制作での課題はやはり「VR酔い」



本セッションではVRによって変わる未来だけでなく、現状の課題についても議論が交わされた。ステージ上のスクリーンには酔いや一人称視点の描画、さらには開発スペースなどさまざまな課題が羅列されたが、伊藤氏、下田氏はともにVR酔いを大きな問題と指摘する。

伊藤氏は「今までの3D酔いの固定概念で考えなくていい」と持論を展開。既存の3Dゲームでは酔いに繋がるとされていたことにも、再挑戦してみる価値があるという。また、「ユーザー側がいずれ慣れてくれる」は危険な考えであるとも語った。そのうえで、コンテンツ開発者に対して、今まで以上に入念なユーザーテストを求めた。

対して下田氏はキャラクター描写とカメラに工夫を凝らすことで、酔いを軽減できると主張する。Unreal Engine4で開発されている『Showdown』では、人物の動きに対してカメラの移動をあえて遅く、なおかつ等速移動させることで解決を図った。また、『Bullet Train』では移動を排除するという思い切ったゲームデザインも。その代わりとしてワープとホワイトアウト/インを利用するなど、斬新な挑戦を見せている。

もちろん他にもさまざまな解決方法が考えられるが、「これまでに3D酔いを解決してきたゲームクリエイターと、VRコンテンツホルダーの協力がカギになる(下田氏)」「フレームレートを落ちた場所をヒートマップで表示、集積する(伊藤氏)」といった案も生まれた。
 
最後にパネリストの3名は、今後VR展開で期待する領域を紹介。伊藤氏はVRで共有空間に入り、バーチャルのセミナーやイベントが実現できる世界に期待すると語れば、下田氏は建築物や車を再現し、シミュレートできる点に注目しているという。そして西川氏は、インターネットカフェが依然として強い中国市場にVRを導入すれば、新たなビジネスチャンスが生まれるのではと話す。中国をはじめとしたアジア地域や、欧米を意識したコンテンツを作ることも、日本のメーカーが成功するひとつの手段になるだろう。
 

(取材・文:ライター  ユマ)
 




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