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【セミナー】「お腹に嫌な感触があった」…VRで実際に“殴られる瞬間”を見たいという欲求 興醒めしないリアリティの追求とは

2016年05月18日 13時04分更新

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グリー<3632>では、5月17日(火)にゲームクリエイター向け勉強会「GREE Creators’ Meetup#4」を開催した。

「GREE Creators’ Meetup」は、企業や所属の垣根を越えて、ゲーム業界で働くクリエイターの誰もが勉強、交流ができるアート・クリエイティブ領域に特化した勉強会。業界最前線で活躍するクリエイターも招きながら、今後の活動のヒントやインスピレーションを得るための場を提供する。

本稿では、GREE VR Studiosが開発したGear VR 向けゲーム『Tomb of the Golems』における、一人称視点での近接攻撃表現の事例の講演をレポート。講演タイトルは「VR 空間で殴られよう: 一人称視点の近接攻撃表現の事例」と少々過激なものかと思いきや、そこにはVRゲームならではの問題と、リアリティを追求し続けたグリー開発陣の葛藤があった。

 

■実際に殴られる瞬間を見たいという欲求 興醒めしないリアリティの追求



登壇したのは、GREE VR Studio所属のブーシェ 晃 ロビン氏。同氏はゲームエンジニアとして、東京ゲームショウ2015に出展したVRデモ『サラと毒蛇の王冠』の開発に携わった。Unity歴は3年ほどで、今回事例として紹介する『Tomb of the Golems』ではプログラム全般を担当している。

『Tomb of the Golems』は、GREE VR Studio初のVR向けオリジナルタイトル。プレイヤーは主人公シドニーとなり、相棒のルカと共に古代エジプトの遺跡に潜入し、発見した魔法の杖を使って襲い来る神々を撃退していく。ゲームプレイは、魔法の杖で出現する敵を撃退するFPS(一人称視点シューティングゲーム)。

ヘッドトラッキングでカメラの向きをコントロールし、タッチパネルをタップすることで魔法の杖で攻撃できる。なお、ゲームのプレイには別途、SAMSUNG社が開発したヘッドマウントディスプレイ「Gear VR」が必要となる。ただGear VRにはポジショントラッキングがないため、カメラ位置はステージ中心に固定されており、プレイヤーが任意に動かすことはできないようになっている。
 





▲ステージのラストには大型のボスが登場。ボスを倒すにはちょっとした謎解きが必要となり、ロビン氏いわく「難易度は高めの死に覚えゲーム」と言葉を添えてくれた。


本作を手掛けるうえで気を配ったのは、戦闘におけるポイントという。敵は近接攻撃や大きく遅い飛び道具で攻撃してくるため、エフェクトやHUD演出などでごまかせる銃撃とは違い、敵の攻撃がプレイヤーにヒットするのをはっきりと見せなければならないというのだ。
 

▲小さい敵は目の前まで移動させて攻撃モーションを再生するだけで、VR空間でもそれっぽく見せることができるとのこと。飛び道具も目の前まで移動させて被弾エフェクトを再生すれば当たっているように見せられる。


▲密閉されたVR空間内では、画面フラッシュなどを不快に感じる方がいるが、被弾時には煩わしくない程度の画面効果を使用。このダメージエフェクトも画面端のみが赤く点滅するようにし、画面中央はあまり派手に変化しないようになっている。


小さい敵や飛び道具については、ある程度カバーできるが、問題は巨大ボスの近接攻撃だ。ボスは大きな拳で殴り掛かってくるのだが、これを表現するうえでの衝突した問題や解決方法について紹介してくれた。

ロビン氏含むGREE VR Studioが追い求めたのは、“実際に殴られる瞬間を見たい”と言う欲求。同氏いわく、開発当時の2015年は、ことアクション要素の強いVRコンテンツでは寸止め演出が多かったという。たとえば、恐竜のティラノサウルスが迫ってくるシーンでは、演出上は食べられるのだが、大きく口をあけた瞬間にブラックアウトする…といった具合に、盛り上げといて結果何も起こらないため興醒めする演出が多かったようだ。本作ではそうした残念感を避けたかったとロビン氏は語る。

ここで一度プレイヤーとボスの目線を確認しておこう。
 

▲主人公のシドニーの身長は1.7m。台座の0.4mを合わせれば、ボス戦時はプレイヤーの目線が2.1mとなる。これらは各ステージのボス戦時は固定となる。写真の場合は、一人称視点から9mもの高さがあるボスを見上げる形に。


▲実際の視点だとこんな感じ。


 

■「お腹に嫌な感触があった…」 成功したアプローチとは


ロビン氏は様々なアプローチで解決策を見出した。
 

▲カメラ位置にめがけて拳を振り下ろす形のアプローチ1。インパクトは大きいが、カメラが敵の腕にめり込んでしまう問題が発生。「普通のゲームでも興醒めするのに、VR空間だと没入感が一気に削がれるので余計NG」とロビン氏。
 

▲では、めり込まないように、カメラのすぐ上で止める寸止めパンチでは、どうか。こちらはVR空間で見てみると、寸止めであることが明らかに見えるとのこと(実際に当たってないので当然)。酔いの関係でヒット時にカメラを揺らすといった演出も使えないので、どうにもごまかしが効かないものとなった。砂埃などのエフェクトでヒットの瞬間を隠す手もあるが、ロビン氏としては「いかにも“隠してます”感が出るので個人的にやりたくなかった」とこだわりを示した。
 

▲最後に頭ではなく胴体(カメラより下)を狙うなぎ払い。前述しているように、Gear VRにはポジショントラッキングがなく、カメラ位置が固定されているため、モーション側が胴体の位置を事前に知ることが可能となる。現実での一部となる位置を狙うため、攻撃を受ける感覚も出せた成功アプローチのひとつという。実際にロビン氏もVR空間で見たときに「お腹に嫌な感触があった」と苦笑いしながら語ってくれた。


上記のボスは、最終的には近接攻撃をしない敵になってしまったが、代わりに別の大型ボスの近接攻撃に活かすことができたとのこと。とはいえ、開発陣としては制限なく様々な攻撃モーションにも挑戦したいところ。下記の2体のボスキャラも特殊な攻撃を繰り出すようで、こちらの事例についても紹介してくれた。
 

▲こちらのボスは、拳ではなく剣で攻撃してくる。拳と比べるとカメラにめり込む範囲が狭くなったうえ、2、3フレームくらいならカメラを貫通してもすぐ外れるのでプレイヤーが気付きにくいという。
 

▲そこで応用として、剣で胴体を串刺しにするモーションを行った。するとカメラにめり込まないうえ、腹部にグサッと刺される感覚を出せたようだ。
 

▲続いて、拳では少々難しかった振り下ろしにも再挑戦。こちらも剣の形状のおかげで、カメラがめり込んでしまう範囲が狭くなり、一瞬のめり込みなら目立たなくなった。しかし、剣が細長いため、しっかりカメラの中心位置を狙わないと横にそれてしまう問題も。ここはカメラ位置が固定なのを利用して、モーション側で微調整したという。
 

▲拳、剣に続いては特殊なビーム攻撃。
 

▲このボスは目からビームを発してくるのだが、直接当てるのではなく、地を這うようにゆっくり近づくモーションを採用。ビームの移動速度が遅いおかげで、カメラにめり込ませず、うまく胴体部分を貫通させることに成功。加えて、派手な爆発エフェクトを胴体位置に潜り込ませることで攻撃を受けている感覚を出した。


 

■「強烈」…ロビン氏が語る最恐の体験


講演の最後には、余談としてPSVRのデモ『The Deep』をプレイした時の小話を披露してくれた。SCE London Studioが開発した『The Deep』は、海中を檻の中から鑑賞するVRコンテンツ。クライマックスではサメに檻を食い破られてしまうなど、緊張感たっぷりの演出が魅力の作品となっている。
 

本来は、上部写真のようにサメは檻の部分を噛みついてくることになっている。いわゆる先ほどロビン氏が話した“寸止め”の演出がそれだ。しかし、ロビン氏が体験した際に、何らかの不具合があったのか、下部のような演出に……。

 

もろ食われてる。

拳のときにも話に出たが、やはり顔近くはカメラがめり込み、サメの裏側が見えるなど興醒めることもあったようだが、下側に関しては先ほどのなぎ払いにもならい、本当に下腹部を食われている感覚となり、「強烈だった」とロビン氏は振り返った。

幸か不幸か、危機迫る体験をVRを通して味わったロビン氏。これらの強烈な体験も活かして、今後もGREE VR Studiosはリアリティを追求した未曾有の体験を提供してくれるだろう。


■関連サイト

GREE VR Studio公式サイト



©GREE, Inc.




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