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「コミュニケーションはVRの大きな魅力」…VR空間を簡単に共有できるサービスへの挑戦 モノビット代表の本城氏に訊く

2016年07月22日 10時35分更新

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アプリ・ゲーム業界向け開発&運営ソリューション総合イベント「Game Tools & Middleware Forum」(GTMF)が、2016年7月15日、都内・秋葉原UDX GALLERY NEXT THEATERにて開催された。本稿では、モノビット代表取締役社長・本城 嘉太郎氏が登壇し、同社の「モノビットエンジン」について語ったセッション「VR対応も開始!国産のリアルタイム通信エンジン『モノビットエンジン』の最新事例紹介」の内容をまとめてみたい。

 

■「モノビットエンジン」について

 
 ▲モノビット代表取締役社長の本城 嘉太郎氏
  ​
最初のテーマは、「モノビットエンジンとクラウドパッケージで最強のリアルタイム・マルチプレイ環境を構築&運用しよう」というもの。話は、そもそもモノビットエンジンとはどのようなものであるのか、というところから入った。本城氏によるとモノビットエンジンとは、同社が提供するネットワークミドルウェア製品群。

主力製品であるMonobit Unity(MUN)は、クライアントプログラムのみで簡単にマルチプレイが実装できる通信ミドルウェアとのこと。もう1つの製品であるリアルタイム通信エンジンは、本格的なオンラインゲームが作成できる通信ミドルウェアで、Unity、Cocos2d-x、Unreal Engineといった主要なゲームエンジンやiOS Android Windowsにも対応している。モノビットエンジンの昨今の採用実績タイトルとしては、『アリスオーダー』(スクウェア・エニックス)や『タワーオブプリンセス』(FIELS)、最近発表されたばかりの『Obsidian Legacy』(DMM)などが挙げられる。
 


続いては、MUNの具体的な機能が紹介された。

MUNはマルチプレイの実装に特化したUnity専用のアセットである。特徴は純国産の通信エンジンであることと、主にクライアント同士の通信をリレーするという機能がメインとなっている他、マッチングのカスタマイズや各種便利機能を同梱している。また、Linuxサーバーで動作することから、オンプレミス環境にも提供可能となっている。

さらに具体的な特徴を見ていこう。MUNはルームを作ってユーザーを呼び込み、その後、ルームに入ってきたユーザーと通信する機能に特化している。ルームを作って、人を呼んで、マッチングをして、バトルをする、という一連の流れの処理が最初から導入されているため、ユーザーはゲームロジックに集中できるのだ。加えて、カスタムマッチングやランダムマッチングの機能が入っていることも大きい。

マルチキャストやユニキャストが実装されているので、簡単にオブジェクトの同期を取れることも大きいだろう。また、MUNの特徴としてRPCも見逃せない。RPCとは、Remote Procedure Callの略で、相手の端末の関数を、自分の端末の関数かのように呼び出すことができる通信インターフェースだ。RPCのおかげで、関数のキャッチボールだけでネットワークプログラムが容易に行えると、本城氏はアピールする。
 

▲会場ではMUNを使ってMecanimのサンプルをマルチプレイゲーム化したデモが披露された。1人用のゲームをマルチプレイ化するためにかかった時間は、たったの1日だったと本城氏は言う。
 
▲7月1日には、Ver1.2がリリースされている
 

■自社エンジンは色々と大変? 商用エンジンならではのメリット


ここで本城氏は1つの疑問に答える。それは「リアルタイム通信サーバはOSSで作れるのでは?」という問いの回答となるもの。

ここで氏は、リアルタイム通信サーバーは「C++」と「Node.js」で作る方法があることを提示。まずは、「C++」で作った場合どんなことが起こるのかを説明した。自社でリアルタイム通信処理を作成する場合は、ソケットプログラミングをしなければいけない。ただ、それにはTCP/IPやUDP等ネットワークの知識に加え、イベントハンドリング周りの知識も必要になってくる。

仮に、これらの知識でリアルタイム通信の基盤が出来上がったとしよう。しかしその後、マルチプレイプラットフォーム対応をしなければならないというハードルが待ち構える。氏によると、Unityはまだいいが、Cocos2d-xなどは、iOS/Androidそれぞれネイティブでソケットを作らなければいけない。さらに、プラットフォームがバージョンアップした時には、全て手動で対応しなければならないため、なかなかに大変な作業となる。そのため、メンテナンスコストなどを考慮するならば、商用サービスを利用したほうがコスト的には良いのだそう。
 

では、一方の「Node.js」はどうだろう。本城氏は「node.js」について、JavaScriptに慣れていれば、ソケットをそのまま使うようなCっぽい処理を行うことができると話す。また、Web寄りのサーバーよりも取っ付きがいいなど、パッと動くところまでは簡単に持っていけることを利点として説明。

では実際問題、「Node.js」や「C++」で自前で作成したサーバを製品として使う場合、どんなことが起きるのか。まず、サーバの冗長化構成やトラブルになった場合の復旧方法などは、全て自分で設計しなければならない。ネットに情報が載ってはいるものの、それなりにスキルの高いエンジニアが自分で学習して工数をかけてメンテナンスする必要がある。ネックは、優秀なエンジニアをリアルタイムエンジンの開発に貼り付けなければならないこと。そのため、エンジニアに余裕のある一定の規模の会社でないと、この方法は現実的ではないのだ。
 

締めとして本城氏は、自社エンジンを作成するなら気合いを入れて取り組む必要があると結論づける。ただ、それは非常に大変なことだ。

商用エンジンには、わかりやすいSDK、サーバを立てなくても試せるテストクラウド、無料のサーバ構築サービス、日本語のドキュメントなど多くのメリットがあるため、苦労して自社エンジンを作成するならば、商用エンジンの利用をしたほうがいいのではと、来場者にアドバイスを送った。
 
  

 

■VR空間を簡単に共有できるサービスへの挑戦


続いては、モノビットの新製品「モノビットチャット」の紹介が行われた。本製品は、アプリにチャット機能を簡単に取り付けることができるという製品で、基本的なGMツールもバンドルされている。特徴は、ダイレクトチャットやグループチャットを簡単に実現できることに加え、Unityの無料アセットがすぐに使えること。さらに、チャット専用の運営ツールも付いてくる。
 

モノビットチャットは異なるサーバー間でも簡単にダイレクトチャットが実現できるほか、相手のいるサーバーを自動的に選び出してメッセージを送ることも可能だ。面倒なサーバ設計が必要なくなるののである。そのほか、禁則処理の設定やコンバートツールが提供されているので、NGワード登録が簡単に行えるという利点も。
 
▲GMツールの紹介も行われた。解説されているチャットルームをリアルタイムで確認できたり、チャットに接続しているユーザ数をリアルタイムで確認、さらにGMメッセージを直接ルームに送ることも可能だ。そのほか、登録済みの管理者を一覧で確認することも可能だ。
 
▲モノビットチャットエンジンの機能一覧(予定含む)
 
▲モノビットチャットエンジンは、スクエニのPC向けゲーム『LORD of VERMILION ARENA』でも実装されている。
 
▲UnityやCocos2d-xなど、最新エンジンでの導入事例を紹介。
不具合を中心とした各社からの相談に対する対応や提案などを紹介していた。

最後はテーマは、Monobit VR Cloudについて。現在同社は、Monobit VRというブランドを立ち上げ研究開発を行っている。その中で本城氏を含むスタッフが注目しているのが、コミュニケーションの部分だ。

現在は1人用コンテンツばかりだが、これからはマルチプレイのコンテンツが増えてくるだろうと氏は予測する。ただしVRの場合、同じ空間に複数の人を入れて同期を取るとなると、360度全ての角度で空間演出や音声を取り入れなければならないため、負荷が大きくなってしまうという欠点もある。

ボイスチャットに関しても複数の声をミキシングするため、かなりリアルな音声を作らなければ没入感は得られない。しかしモノビットは現在、VR空間の共有が簡単に実現できるクラウドサービスに挑戦していると本城氏は言う。

本件の正式な発表は、2016年8月24日から開催されるCEDEC2016で行われるとのことだ。また、クラウドVRの発表に関してはCEDEC2016においてCTOの中嶋氏が「第1回 クラウドVR開発者会議」を開催するとのこと。なお、後述のインタビューではモノビットが発起人となり、世界で最初となる "クラウドVR開発者会議" をスタートさせるとの発表もあった。
 

レポートは以上となる。セッション後、短時間ながらモノビットエンジンとVRへの取り組みについて本城氏にインタビューすることが出来たので、本稿の締めとして掲載しよう。

 

■本城氏に訊く モノビットの取り組みとVRの未来とは

 

――:御社がVRコンテンツの開発に着手したのは、いつ頃からだったのでしょうか。

2015年からVRコンテンツの開発に取り組み始めました。そこで色々なコンテンツを体験したり作ったりしていたのですが、その結果、コミュニケーションはVRの大きな魅力であると気が付いたんです。マルチプレイのような、プレイヤーだけが同期しているものは簡単に作れるのですが、ボイス同期が難しく、なかなか簡単にいかないんですね。声の場合、5〜6人が同時に喋るとなると判別が難しい。周りの声がリアルに聞こえないと没入感は得られませんからね。


――:2人くらいなら大丈夫そうですが、さすがに5人以上になると厳しくなってくると。

そうですね。ただ現在は、そこに対する決定的なソリューションがないんですよ。勉強会や講演などでVR対応を考えていますとお伝えすると、「いつ出るんですか?」という質問が集中するんです。なので、こんなにニーズがあるんだなということを実感させられました。ゲームエンジンに関しては、モバイルVRのシェアが高めということで、まずはUnityを優先してやってみようということで、現在開発を始めています。


――:開発は順調ですか。

先日、弊社のCTOとして中嶋が入ったのですが、彼はクラウドやソーシャルに関する深い知識を持っているので、僕らの予想を遥かに上回るスピードで開発が進んでいます。現在は、8月のCEDEC2016で実際に触れるものを見せるべく頑張っています


――:ゲーム以外の業種の方との交流はいかがですか。

じつはVR開発者さんは、ゲーム以外の業種の方が非常に多いんです。ゲーム開発者の方はUnityの開発にも慣れているのですが、例えば建築系の方などは、コーティングやサーバ構築に慣れていない方もいらっしゃいます。なので僕らは、そういう方でもUnityにプラグインを入れるだけで簡単にテストが出来て、なおかつサービスインするときは僕らのクラウドのWebページから申し込むだけで、本番サービスに使えるクラウドサーバが提供され、簡単にサービスインできるようなサービスを作ろうとしています。

今後はマトリックスみたいにVRで街を再現したり、MMORPGみたいに広大なエリアに何千人と入って、そこでの会話が聞こえるようにしたい。でもそうなってくると、どうしたらいいのか検討も付かないという方も多いと思います。

ですが、中嶋はもともとMMORPGを作っていたので、そういう空間をどう分割し、クライアントに送る情報を制限してデータの共有をするのか、というテクノロジーに対して非常に造詣が深いんです。我々はMMORPGのノウハウを活用して、VRの大規模空間共有の基盤を作ろうという構想をもっています。それが、VRクラウド構想なんです。



――:ゲーム以外の業界で、特にVRの波が訪れていると感じる業種はありますか。

全ての業種に波が訪れると思っているのですが、直近ですと、団体で建築の内覧ができるシステムに注目しています。次に来ると思っているのは、VRによるエデュケーション。つまり教育ですね。その場にいなくても、ヘッドマウントディスプレイをつけるだけで視界に教室が広がってディスカッションが可能になるというバーチャル教室を作る。インタラクションが積極的にできるということは、これから先の教育分野において大きなプラスになるのではないでしょうか。


――:エデュケーション以外だと、どういったところに注目していますか。

会議ですね。ビデオ会議システムなど、今まではカメラと2Dでやっていたことが、VRを導入することによって声や動作の確認までできるようになる。他にも、パソコンの画面を共有しながら会話したり、一緒に図面を描いたりといったことも可能になるでしょう。これから先、クラウドVRは必須のテクノロジーになってくると思いますが、それを僕らが作ろうしているわけです。


――:今後の課題について教えて下さい。

今はインフラだけを提供することもやっているんですけど、モノビットVRのスタジオの機能では、そういうニーズを持っている様々なジャンルの企業からお声がけいただくこともあります。そのため、我々がクラウドを作って上手く実装して提供するということも、実際に始まっています。

まだクラウドまではできていないのですが、社内で作っているプロダクトにおいては、VRデバイスのOculus、VIVE、Gear VR、スマートフォンを使って、別々の部屋にいる人達が、VR空間内で「こんにちは」って挨拶が出来るようになっています。今後の課題はボイス音質の向上と遅延の解消ですね。そこを最適化しているところです。VR開発者の皆さんに、便利なクラウドサービスをいち早く提供できるよう、開発陣一同頑張って開発しています。ぜひ今後ともモノビットのネットワークソリューションにご期待ください。



――分かりました。本日はありがとうござました。
 
(取材・文:ライター  御簾納直彦)


 




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