乖離性ミリオンアーサー、スクウェア・エニックスに関するVRセミナー記事

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スクエニ、「ミリオンアーサー」のリソースを流用してイベント用のVRデモを制作 イベント出展でみえてきた課題とは【CEDEC2016】

2016年08月27日 00時10分更新

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コンピュータエンタテインメントの開発者を対象とした、日本最大級のカンファレンス「CEDEC2016」。本稿ではスクウェア・エニックス第10ビジネス・ディビジョン、プロデューサーの加島直弥氏による「VRカードゲーム開発事例『乖離性ミリオンアーサーVRデモ』」セッションレポートをお届けする。

『拡散性』から『乖離性』にシリーズを引き継ぎ、好評運営中の『ミリオンアーサー』。モバイルカードゲームを中心にウェブアニメ、コミック、ラジオ、トレーディングカードゲーム、音楽CD、実写ドラマなど、さまざまなメディアミックスが進行中のタイトルだ。

本セッションはそうした横展開の一環として、1月24日に横浜アンフィシアターで行われたオフラインイベント『御祭性ミリオンアーサー』むけに開発されたVRデモのポストモータムとなる。HTC Vive向けに制作され、ゲーム内世界に入り込んだかのような視点で、ど派手なカードバトルが楽しめるというものだ。
 

▲加島直弥氏


 

■実在感(プレゼンス)を高めるためには


「VR元年」と呼ばれる中においても、モバイルカードゲームをモチーフに制作されたVRゲームは数少ない。その一方で既存IPのリソースを流用した横展開は、多くのゲーム会社にとって興味あるテーマだ。そのため会場は開発者で埋まり、立ち見も出る盛況ぶりだった。

ファンサービスとプロモーションを目的に開発された本作。もっともこれには、「企画当時(2015年)はVRの商品力が見えにくく、デモ展示(=非商品)にすることで企画を通した」という事情があったという。

また、当時は部内でもVRについて賛否両論があり、加島氏は私物のPCとVR HMDを使用してプロトタイプを制作。社内承認を得たとあかした。「VRは企画書を書いても良さがわからない。プロトタイプを作って体験してもらうのが早い」と加島氏は言う。
 


もっとも『ミリオンアーサー』とVRゲームの相性の良さもあった。「カードゲームなので視点を大きく動かさずにすみ、VR酔いがおきにくい」「カードの取捨選択がVRでの操作になじみやすい」「カードが空間に浮かぶような演出をユーザーはアニメなどで見慣れている」「ど派手な演出がVR映えする」などだ。
 






ちなみに加島氏は人一倍、VR酔いしやすい体質の持ち主なのだという。そのため酔いにつながる要素を、できるだけ排除したとあかした。

具体的には「視線を常に正面に集中させるような画面デザインにして、大きく視界を動かさなくても体験できるようにする」「視界を動かしたとき、HUD(画面上のUI、パラメータなど)を視界からワンテンポ遅らせて動かすようにする」などだ。特に後者によって、かなり酔いにくいゲームになったという。
 


また実在感を高めるために、「プレイヤーの腕をVR空間内でも表示する」「キャラクターがプレイヤーを意識して反応するようなモーションを入れる」「立体音響を活用し、キャラクターやモンスターの動きにあわせて、正しい方向から、正しい減衰率の音を再生する」などの工夫がなされた。
 
特に腕の表現にはこだわっており、仮想世界に登場したプレイヤーが自分の腕で杖を持ち、カードを選択し、攻撃を行うといった具合に、Viveコントローラーを握る腕の動きと完全に同期するように調整が行われた。そのため腕のCGモデルについては、手のポリゴンをより細かくしてリアルな形状にするなど、グラフィックの向上がなされたという。
 




もっとも、モバイル版自体がハイクオリティなCG描写を特徴としているため、ほとんどのCGモデルは流用できた。それよりもVRならではの事情で、作り直しが必用な部分が発生した。

まず、モバイル版では背景は一枚絵だったが、VR版では3Dモデルで制作された。視界を動かすと背景が絵であることがわかってしまい、没入感がそがれたからだ。同様にステージモデルもそのままでは距離感がわかってしまい、チープな内容に感じられてしまうため、モデルのスケールと距離感が修正された。
 




戦闘シーンではエフェクトの描写にこだわった。カメラ位置が固定されているモバイル版と異なり、VR版ではあらゆる角度でエフェクトが立体的に見えるようにする必要があったからだ。
 
その一方でエフェクトが視界を遮ったりすると、モバイル版では気にならなくても、VR版ではまぶしく感じられることもある。そのためエフェクトを小さくしたり、視界周辺に表示させたり、厚みをもたせたりといった修正が必用になった。
 
このような作り込みによって、無事完成したVRデモ。イベントでのユーザーの反応も上々だった。しかし出展を通して、展示スペースや回転率、衛生面の問題など、さまざまな課題が見えてきたという。もっとも、これらはVRコンテンツ全般に言える問題であり、一朝一夕に解決できるものではないことも事実だ。
 






 

ともあれ、既存モバイルゲームの横展開という点で、一定の成果をあげた加島氏。今後も品質の高いコンテンツ作りや、体験機会の増加を通してVRコンテンツに対する敷居を下げていきたいという。品質の高いVRコンテンツを作るには、「酔いづらいコンテンツにする」「シンプルな操作にする」「疲れにくい内容にする」といった課題があるものの、うまく遊びに活かして実現していきたいと語った。
 
(取材・文:ライター  小野憲史)

 

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