東京ゲームショウ2016(TGS2016)、VISIONTRICK MEDIA、Oculus Riftに関するVRイベント記事

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【TGS2016】見て・見守って・助けあって、進む。異質なVRゲーム『MARE』が育む世界を「視て」感じたあれこれ

2016年09月23日 19時45分更新

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9月15日から9月18日までの期間、千葉幕張メッセにて開催された「東京ゲームショウ2016(以下 TGS2016)」。多くのVRゲームの出展があり、また多くのVR機器の発展もあって、これからのVR業界への盛り上がりを示唆する展示会であったと断言しても過言ではない。そんな展示会のインディーブースにおいて、行列を作っていた「VISIONTRICK MEDIA」ブースの『MARE』をお届けする。


 

■操作は視線で




ブースを見て最初に思ったのが、『ワンダと巨像』。プレイ内容を観るうちにそれは『ICO』へと変わった。実際海外のサイトではICOライクの作品だと言うところもある。と言っても、それは全体のイメージであり、『MARE』にあてはまるものではない。『MARE』で重要なのは、装着したHMDでの「視線」を使って謎を紐解く事であり、作中に登場するどこか実在感のない、儚げな少女と共に進んでいく事なのだ。
 
主人公である「存在」は実体を持たず、従って厳密には自機、プレイヤーと呼べるものは存在しない。先ほど記した「視線」を用いて副次的に「謎の敵」を倒したり、ダヴィンチの機械群を思わせる、アンティキティラの歯車を思わせるカラスにも似た「鳥」を副次的に操作したりする事で、閉鎖された空間から新しい場所を求めて彷徨い往くゲームとなっている。







やはり特徴的なのはなんと言っても「視線」だろう。怪しげで抽象的な目玉っぽく象られたポールを見つめるとそこに「鳥」が移動して、女の子が誘導されていく。またはどこか怪しい、謎が隠されていそうなところを見つめると何かが起こるといった要素もあり、他の作品ではストーリーや敵に気を取られて疎かになりがちな空間へ注意を向ける事で、次のアクションや謎が展開されていく仕組みだ。「女の子を見守る」という保護者視点でもある事がゲーム性に複雑な色を添えている。

『MARE』を手掛ける「VISIONTRICK MEDIA」は幻想的な映像と世界観、そして「異質な体験」の作品を生み出す。今回『MARE』と共に出展されていた『PAVILION』(PS4・DL販売)もまた誘導がキーとなるゲームであり、ここにクリエイターの想いが詰まっている。
 
■『PAVILION』


もう一点、特筆すべきは「浮遊感」にあると言えるだろう。「鳥」を視線にて動かす際に、プレイヤーの視点も動くのだが、それは基本的には「鳥」の座標と連動しており、普通に生活している人間では味わえないタイプの浮遊感を得られる体験となっている。



突然足元が失われる、重力を失くす体験は大変面白いもので、作品の味と相まって得も言われぬ「体験」となってフィードバックされるのだ。これこそVRの醍醐味であり、VRデバイスを使った楽しみだろう。現実感の喪失が幻想への呼び水となり、しかしその喪失はVRでの現実感を呼び覚ます。口で言っても分かりづらい事ではあるが、体験してもらえれば理解していただけると確信する。まさに百聞は一見にしかずだ。体験できる場所、機会の情報を得られればご報告する。


 

■クリエイターRUI GUERREIRO氏に訊く『MARE』



――:『MARE』は視線でプレイするという、変わった方式ですね。

RUI氏:見る事で進めていく作品です。また、女の子を見ていないと「敵」が出てきて、女の子がピンチに陥ります。『MARE』に出てくる人間は女の子だけで、プレイヤーの「存在」は実は不明。人なのか、霊なのか、それともそれ以上の存在なのか。ただ、女の子は「鳥」の近くは安全だと直感的に分かっているので、その後を付いて行ったり近くに寄ったりします。


――:なるほど。女の子を助けていくゲームなんですね?

RUI氏:それだけではなく、女の子と協力しながら進む場面もあります。例えば「鳥」が行けない場所へ女の子が行って扉を開ける事で「鳥」が飛んで行けるようになり、また一緒に進んでいく……そんな要素も入っています。


――:少し『ICO』を思い出す場面もあります。

RUI氏:言われてみればそう感じるところもありますね。コミュニケーションAIとプレイヤーがコミュニケーションする感じがあって、それは似ているかも知れません。ただ『MARE』は「視線」で助けあってプレイしながら「世界」を体感していただくものなので、また違った経験を得られると考えています。


――:『MARE』には秘められた意味があるんですか?

RUI氏:タイトルのネーミングには様々な理由がありますが、プレイした人、見た人に決めてもらいたいんです。自分で言うと変な感じになっちゃうので(笑) ゲーム開始時にも特に説明がなくて、プレイしていく内に世界が段々分かってきます。この作品は「視線」で色々なものを見ながら進めるというシンプルなところが魅力であり、いいところ。世界を見て楽しみ、その環境を楽しんでいただければ嬉しいです。




――:発売時期はいつ頃を予定していますか?

RUI氏:TGS2016出展バージョンでOculus Riftを使っていますし、まずはOculusでの発売を目指します。発売日は……できれば来年内を考えています。様々なタイトルが登場するVR市場においても、意外なものになる、他にはない体験になると思います。女の子を長く見ているとリアクションが変わったりもするし、見て・助けて・助けられて、彼女と一緒に『MARE』の世界を進んで楽しんでください。
 

この世界観とデザイン、好きな人には本当にたまらない作品となるだろう。筆者もこの雰囲気が好きであり、大好物だ。体験できた箱庭的なスペースからの広がりや、女の子と先へ進んでいき謎を解く喜び、「視る」事で生まれる様々な変化など、状況的に期待する箇所しかない。また、プレイ時には「見守る」事で母性・父性をくすぐられる事が容易に想像できるため、その観点からもハラハラできるのではないかと期待している。来年発売予定との事なので、また新しい情報が出た際には随時お伝えしたい。
 
(取材・文:ライター 平工泰久)

 
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