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様々な産業で具体的な展開を見せるVR・ARを、業界の第一人者達が分かりやすく解説【JVRS2】

2016年11月25日 13時00分更新

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水天宮前駅直結のロイヤルパークホテルにて行われた、グリー株式会社と一般社団法人VRコンソーシアムが共同開催する「Japan VR Summit2」。有料にも関わらず多くの人々が詰めかけるのは、そのセッション内容に魅力があるからだ。ここでは、「VR/ARはゲームエンタメから各産業へ花開く」と題されたSession4を紹介する。

このセッションでは、モデレーターに Mogura代表取締役 兼 Mogura VR編集長の久保田瞬氏、パネリストにUnity日本担当ディレクターの大前広樹氏、リトルスターメディアCEOのTony Mugavero氏、NianticポケモンGOディレクター野村達雄氏、コロプラ代表取締役の馬場功淳氏が登壇。ゲームだけではなく、エンターテイメント視点からの様々な話がなされた。

■ノンエンタメ分野に関わる取り組みについての紹介
 

▲Mogura代表取締役 兼 Mogura VR編集長の久保田瞬氏

 
質疑応答のコーナーでは、久保田氏からエンタメで使用されるVRの「それ以外の分野」についての質問がなされた。「シリアスな分野で使われている」という大前氏は手術室にHMDを持ち込んで使用しているHoloEyesを例に挙げ、「コンセプトの段階ではなく、実際にやっている」と説明。患者の臓器などを3Dモデルで表示して可視化、罹患部分のデータをつまんだり引っ張ったりできるのだ。CTスキャンを元にしたデータならば患者本人の3Dモデルで事前に手術の計画を立てる事も可能となるため、有用性はとても高い。


▲リトルスターメディアCEOのTony Mugavero氏

「ジャーナリズム分野で多く使われている」とするTony氏は、アメリカで政治がエンタメ化している事を引き合いに360度動画の有用性を語る。また、「NATIONAL GEOGRAPHIC」ではイエロー・ストーンで動物や植物を360度動画で楽しむ事もできるし、そんな教育分野での活用もあると同氏。病院で回復を待っている間、不安がある状態で、様々なコンテンツを楽しめる、PTSDをケアできる事も大きいと説く。クリエイターサイドが「回復を助ける、メンタルケア系の動画」を作り始めているとの事だった。

「体験系は360度映像と相性がいい」という馬場氏は、熊本の震災の被害状況を体験できる事を例に挙げる。報道では限界のあるリアリティを補完・強化する場合にも強力なツールとなるだろう。そういうものを通して「エンタメ」と言ってもいいのではないか? とも語った。
 

▲コロプラ代表取締役の馬場功淳氏

Niantic野村氏は、『ポケモンGO』や『Ingress』の成り立ちについて「人を外に連れ出すのがコアなバリュー」と説明。そもそも「ゲーム会社とカテゴリが違う」Nianticの成り立ちがそうであるように、ジョン・ハンケ氏の考えがこもっている。病院などでのフィジカルセラピー分野でも『ポケモンGO』が使われていたり、ゲットのために自閉症の子供が外に出掛けて、自らの意志で他のプレイヤーとコミュニケーションを取るようになったりという側面もあるらしい。また、東北でのラプラスイベなど、地方の地域振興にも積極的だ。元々同社は『Ingress』でも地方各地と組んでイベントを行っており、そのDNAが『ポケモンGO』へと引き継がれた形になるのは興味深い。

久保田氏からARの経緯を尋ねられた野村氏は、「アイディアは最初から、実装は途中から」と返答。ARについてポケモンGOをやる事で普段やらない事をやったり人と会ったりして、知り合いが増える事を指摘。その意味で「現実が拡張している」として、「カメラはただの一部トリック。ゲーム外の現実がどのように拡張されるかがキー」とした。
 

▲NianticポケモンGOディレクター野村達雄氏

続いてUnityの使い方について聞かれた大前氏。Unityの他にもツールがあるにも関わらずUnityが選ばれているのは、VR・ARや動画を作る時にインタラクティブ性が必要になってくる、そこでUnityを使ってくれる人が多いと説明。一方で、エンタメやゲーム分野ではない人が使うと、より直接的な使い方を好むのではないかと考えているそう。やがてはVR空間の中で直接コンテンツを開発できるようにする予定で、その研究開発を進めているとの事。今後は、マイクラで作るかのように一般の方がゲームを遊ぶ感覚でコンテンツを制作していく……そんな未来像を見せた。
 

▲Unity日本担当ディレクターの大前広樹

「直感的に作る事」への考えを聞かれた馬場氏は、『Fly to KUMA』を例に説明。そこから提供されるだけのものではなく、作る事の楽しさもある『Fly to KUMA MAKER』を作成したそう。提供したかったのは手触り感だとして、何もない空間に、何かを触りながらものを置いて、「ここに置けばクマが先へ進める!」という喜びと共に、触るコンテンツ、直感に訴えるものが生み出されたのだろう。
 
 
■ゲーム、エンタメ分野での知見がどう活かされるのか?
 

これについてTony氏は、「360度撮影は、どの産業であってもやり方は一緒」と語る。その差異はツールやテクニックにあり、スティッチングなどでも差異が生まれるだろう。リトルスターメディアでもUnityを使ってコンテンツを作成しており、中には医療分野でUnityベースのコンテンツを作っているところもあるそうだ。

撮影現場においてプロユースでちゃんと撮れるものがなかったため、企画作成配信、機材開発も手掛けていると馬場氏。360channelはスタッフ全体で30名、内10名ほどが機材開発に関わっていて、ゲームで培ったノウハウを元に生放送に用いる、またはゲームのUIをそのまま活用しているとの事だった。
 

大前氏によると、360度動画への要望は大きいという。4Kやレイトレーシングのサポートに、物理ベースでGPUレンダリングのエンジンを統合、ハイクオリティなエンタメ向けレンダリングを360度向けにしていくようにエディタが統合されていくようだ。タイムラインエディタ、「時間軸を持った動画のようなエクスペリエンス」作成のためのエディタインタフェースも提供し、これはジャーナリズムや教育用途に使用できる。他方、産業分野ではVRスペースにて「作る前に状況の確認」をして、モックアップや金型などのコストカットにつなげる事も可能。基盤技術で使えるものは投資して作り始めているとの事であった。


■業界全体の動向として、動きや盛り上がりは?

これについて大前氏は、「ゲーム業界では、作ったコンテンツを届けるチャンネルが整理されている」と返答。そこに他業界から乗せる事もできる。投資案件やベンチャーキャピタルでは8割型がゲーム以外となっていて、チャンスはゲーム外の部分に広がっていると言えるだろう。「ゲームの投資が少ないのは、分からない、面白くできるかどうか目利きできる人がいないため」とは馬場氏の言。ゲーム・基礎技術・その他(ゲーム以外のSNS)の案件が均等で持ち込まれているそうだ。

「ARは裾野が広い」と野村氏。広義ではナビもARだからだ。ポケモンGOでそれなりにARの体験が作れるという「気付き」を与える事ができたという。厳密に言うとまた違うのだろうが、数多くの人が技術に触れる機会を得たのは本当に大きいと思う。ただし馬場氏はこれに対し「今の技術では完全なARは実現不可能。だからARに対してはネガティブ」と考えを示す。野村氏も「100%の精度は不可能」としながら、技術的な進歩を期待するコメントを残した。

ここで久保田氏から「プレイヤーがアップする動画はどんな種類があるの?」という質問がTony氏へ。「人気があるのは旅、ジャーナリズム、スポーツ、音楽」で、中でも音楽人気が高まりを見せ、Tony氏達もそこに投資をしているのだとか。また、360度動画については「ナラティブから遠ざかっている」という言葉も聞けた。シーンへのスポットの当て方やストーリーの語りについても、「360度動画でどうするか?」を考えなければならないというのだ。音楽に関してはナラティブである必要はなく、これはジャーナリズムでも同様。そんなコンテンツ類にNATIONAL GEOGRAPHICやDiscovery Channelなどはかなりの金を投入しているようで、放送局も試験的ではない予算を組んでいるのだ。
 

一方日本国内ではどうかと言うと、注目度は高いがやはり海外の方が注目は高い、と馬場氏。PlayStationVRがスタートして中国製の端末も入ってきて、VRに触れる機会が増えれば決定者達の認識も変わると考えているそう。360ChannelにあるANAの整備工場の体験動画で言うと、人気が高くて実際に行けなかった方々が楽しめるようになって、ANAからも好評、という事がある。そんな良好なサイクルが続けば広がりもスムーズだろう。
 
3DCGのゲーム外での頻度については増えていると大前氏。Unityには映画業界からの引き合いも多く、Uniteでも披露されたマーザ・アニメーションプラネット「THE GIFT」のようなフィルムクオリティ作品も共同で制作した。VRだとインタラクティブ性がマストになるため、テレビコンテンツの作り方を一度捨ててやり直す必要があり、だからツールもインタラクティブ性を作り込めるツールで、ゲーム的なUXを作り込まなくてはならないそうだ。

■VR・ARとの相性がいい産業分野は?

3DCG・360度動画・ARそれぞれの観点からの回答を求められた各人が、次のように語った。まず大前氏は、「建築・製造業などはDK1(Oculus)の頃からやっている方々も多い。プロダクトを型から作るような産業だとVRで作ればコストが下がるため、熱い視線は感じている」と発言。実際にNASAでは「火星に送る高価な機械を、作る前に体験できる」事に注目。すでに動いていて、実機での干渉は勿論、火星表面をVRで再現する事により、様々な想定ができる事もポイントだ。これにより専門家の見識が得られるのは大きいだろう。

Tony氏は360度動画について、「消費者行動を分析する事にも役立っている」という。例を挙げれば、野球観戦している人が球場のどこを見ているのか、それを元に広告の効果を調べ、最適解を求めるのだ。これは人の感情の機微や共感といった部分も解析可能なようで、マーケティング上で強い効果を発揮するだろう。

「ARの未来は明るい!」と語る野村氏は、応用できる分野は無限にあると説明。家具を売るwebサイトのアプリでは、スキャンした自室の三次元情報をデモの中に構築、そこに正確なサイズで家具を配置する事により、レイアウトをシミュレートできるのだ。建築分野では材料の選定から工程管理もビジュアルで認識できて、医療分野でも同様に手順が鮮明になる。やがて来るであろう未来は、それほど遠くないだろうとした。

馬場氏は「VRと相性がいいのはコミュニケーション。人とやるゲームは評判がいい」と発言。人と人が会って何かを話す事は本能に訴えかけるのだ。幸福感を得られる体験だともするそれは、コミュニケーション分野と相性がいいと締めくくった。


ゲームだけではなく、映像を含めた「体験」とも呼べるVR・AR。このセッションではそれが実感として提示された。VR機器が様々な代替を起こすと言われているのにも納得できる。後は技術的な問題点をクリアして、より多くの人が触れる時代を待つのみ。アウトプットのコストも視野に入れて、各産業で花開くVRに大いに期待したい。
 

(取材・文:ライター  平工泰久)
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