2017年始企画、コロプラに関するVRインタビュー記事

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【年始企画】コロプラ小林氏に伺う、VRの今とこれから

2017年01月03日 13時15分更新

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クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ/白猫プロジェクトなどのスマートフォンゲームで知られているコロプラは、2014年からVRコンテンツの開発を精力的に続けている。2016年は『VR Tennis Online』『Fly to KUMA』をはじめ、『Dig 4 Destruction』や『STEEL COMBAT』といった海外からも大きな注目を集めるタイトルを継続的に世に提供している。

2016年のCEDECなどでも『Fly to KUMA MAKER』の動画が流されていたので、目にした方も多いだろう。今回は、株式会社コロプラVRコンテンツ開発チームマネージャー・小林 傑氏に、「2017年のVR」がどうなるか、コロプラとしてどうしていきたいかなどを尋ねてみた。

■コロプラ小林氏に伺う、VRの今とこれから
 

株式会社コロプラ
VRコンテンツ開発チームマネージャー
小林 傑 氏

――:それでは、簡単な自己紹介と仕事内容をお願いします。

小林氏:株式会社コロプラの小林です。VRコンテンツ開発チームの責任者として、数十名のスタッフとともに日々、世の中の人々に楽しんでもらえるようなゲームを研究・開発しています。子会社のエイティングとともにVRゲームを制作することもありますが、技術やゲーム制作のノウハウを随時共有しながら、スムーズに連携をとっています。

――:2016年のコロプラの事業展開を振り返って、VRゲームの話や印象に残った事柄を教えてください。

小林氏: Oculus Riftのローンチにあわせて、弊社から2016年の3月29日に『Fly to KUMA』と『VR Tennis Online』を出させていただきました。そこに関してはローンチに間に合わせるというのが最大のミッションだったので、複数のタイトルを間に合わせられたのは良かったと思っています。日本の企業でリリースできたのは我々だけ、世界的に見ても2本同時にオリジナルタイトルをリリースできたのは我々だけではないでしょうか。

続いて夏にHTC Vive向けに『Dig 4 Destruction(以下D4D)』を、Oculus Rift向けに『STEEL COMBAT』を、そして9月、HTC Vive向けに『Fly to KUMA MAKER』を出しました。HTC Viveにもアプローチをしつつ、2つのタイトルを出せたのは大きいですね。そして、『Fly to KUMA』を10月13日に発売された「PlayStationVR」のローンチに間に合うように移植。ここまでで3つの主要なハードに対してしっかり年内に出せた事は大きく印象に残りました。

当初からVRコンテンツを開発するにあたって、ユーザーの方に「ハイエンドなVRで体験してほしい」という想いがありました。2016年はVR元年と言われる中で、機器が揃ってきたタイミングに合わせて1年間で3ハードに対応できたということは、我々のミッションとして良かったと思っています。

――:それぞれのハードウェアのローンチタイミングに合わせて的確にゲームを出している会社はなかなか見ない気がします。

小林氏:そうだと思います。12月の6日に「Oculus touch」が出たタイミングで2タイトル、『Fly to KUMA MAKER』と『D4D』を間に合わせることができました。2016年は各種ハードへの対応とタイミングを踏まえたアプローチを行い、技術研究という名の下でしっかりやってきたと自負しています。

――:『D4D』は国内より国外から好評なイメージが強くあります。

小林氏:当初のプロジェクトの目的は、「全てのタイトルを世界で当たり前のように出していく」こと。しかし正直なところ世界で上手くいった事例が多くない。その中でも『D4D』はアジア圏で非常に多くインストールされました。特に中国が大きかったという印象です。北米でもわりと楽しんでいただけています。とはいえ他社さんが作っているコンテンツと比べるとまだまだ足りない部分が多いので、そこは来年の課題として残っています。

――:他社と比べて気になる点はどこになるんでしょう?

小林氏:VRコンテンツの充実度と、世界市場へのマーケティングですね。他社様の事例を挙げると『Eagle Flight』などはかなり前から作りこんでいて、開発にかける時間も費用も相当なものではないかと考えています。我々としてはコンテンツをまだまだ充実させていく必要があります。マーケティングにおいては、元々海外に拠点を置いているパブリッシャーさんだと、海外でどうやって売っていったらいいのかノウハウをお持ちでしょうし、我々にはマーケティングの方法をはじめユーザー様の興味の惹き方というのがまだまだ足りていないと考えています。2016年は手探りな状況だったので、その二つが今後の課題だと感じています。
 

――:2016年VR全般において、気になったトピックを教えてください。

小林氏:根本的な話になりますが、ようやくOculus Rift、HTC Vive、PlayStationVRという3ハードが出揃ったというのが間違いなく一番大きいでしょう。後はモバイル系で言うとGear VRの広がり。そしてDaydream Viewの発売が一部地域で開始されましたが、2017年にアジアや日本ででも発売されるでしょうか。「VRに対するスタート」が大きなトピックですね。

ここの業界にいると当たり前のように思うんですけど、まだまだ世間的に見るとVRデバイスが出たことさえ知らない人が多いって中で、ちらほら世間でも「やっとPlayStationVRが出たよね」「他にもあるのかな」「HTC ViveやOculus Riftっていうのもあるんだ」みたいなつながり、発信がようやく始まったので、これからが本当にスタートだと思っています。

――:それぞれのデバイスについて、特徴や違いはどう感じていますか?

小林氏:PlayStationVRに関しては、他の2機種と比べて圧倒的に広がる初速が早いところ。つまり出荷台数の多さですね。もちろんリリース前からこの業界にいる人達は分かっていたことですが、結果的にも出荷台数が多かったかなと。そこが一番の差です。手に入れやすいし接しやすい。コンシューマーの方、一般の方が普通に購入できてすでに触れているというところが一番の特徴。

HTC Viveに関しては、一番に挙げるのであればルームスケールですね。3.5m四方の空間を歩き回れるというのは他のHMDにはないと思っている箇所なので、その魅力を活かしたゲームを他社様がしっかり作ってきている印象があります。

Oculus Riftに関しては、360°の映像が見渡せる、コンテンツが見渡せるというところがメインだったと思っているので、Oculus Touchがローンチされてここからがスタートではないでしょうか。Touchに関しては、僕の個人的な考えなんですが、HTC Viveのモーションコントローラーよりも優れていると思っています。ここを今後どのようにパブリッシャー、ゲームやコンテンツを作る方々が上手く使っていくのかがポイントになります。根本的なハードの性能に関しては、ハンドモーションコントローラーの中でもかなり高いクオリティを実現できていると思っています。

――:HTC Viveのコントローラーだと「持ってる感」があるんですけど、Touchを触った時に何ができると感じられましたか?

小林氏:僕が最初に触ったのは2015年の9月。HMDのコンシューマー用プロトタイプに触れた時にも衝撃があったんですけど、それを凌駕する衝撃がありました。『Toybox』のデモ版を通じて初めて触れた時に「凄いな」と感じましたね。自分の手があたかもVR空間にあるかのように感じられ、空間内で物を掴み、人に渡す動作ができる。あれだけでずいぶん没入感が増し、VRがある未来を強く感じました。

――:冒頭にも出たエイティングについて、教えることもあれば学ぶこともあると思うんですが、その辺りで特徴的な話はありますか?

小林氏:『STEEL COMBAT』を作っている頃が正にそうですね。格闘ゲームはニッチなジャンルなんです。特殊な技術・ノウハウが必要で、コロプラ社の中だけで開発するとなるとあそこまでのコンテンツは間違いなくできなかったでしょう。そこを補ったのはエイティングの開発力です。家庭用ゲームや格闘ゲームの制作に関するノウハウ、ナレッジをうまく活かしていただきつつ、エイティング自体がVRコンテンツを作るのは初めてであったため、適宜VRコンテンツ開発チームと意見を交わしながら形に落とし込んでいきました。
 

――:VR酔いについて注意しなければならないことなど気付いたことはありますか?

小林氏:酔いの問題は大きく分けると2つです。まず「ユーザー様の意図しない方向へ視点を移動させてしまうこと」です。2つ目は「ユーザー様の視点の動きに、映像・画像の処理速度が追いつかないこと」です。いわゆるフレームレートの処理落ちで、90fps、60fpsが出ていないと自分の振り向いた方向の映像が遅れてきてしまう。この2つが「酔い」の大きな理由だと考えています。

前者に関しては、当社の場合だと「勝手に視点を移動させないこと」を解決方法として採っています。とは言えせっかくあれだけ広大なフィールドがあるのにVR空間を移動させないのはもったいない。ただ、ある程度ゲームのシチュエーションに応じて移動させることは可能だという部分は見えてきています。

特に『D4D』は移動にチャレンジしているコンテンツで、端的なワープ、前に進んでいくことを採用していますが、描画領域、ボクセル状の空間内での視点であるため、視覚情報が少なく抑えられ酔いにくい。シチュエーションを限定すれば酔いにくいということが現状わかっているので、どういう移動方法であれば実現可能かを少しずつ見つけ出しているところです。とはいえ、広大なフィールドの明るい場所で、色々なものが背景としてある中でぬるぬる動く……という移動方法に関してはまだまだ難しい。そこは検証しつつ研究しつつ、という形になるでしょう。

後者に関しては、数多くのVRコンテンツの開発や多様なハードウェアへの対応といった経験が必要です。我々が出した2016年のVRコンテンツ……移植を含めると8本になりますが、異なるハードごとにそれぞれのコンテンツの処理落ちを防ぐノウハウがたまってきたように感じます。

――:この一年は非常に大きいですよね。スタートダッシュで出遅れてしまった1年間の蓄積は埋まりませんし、コロプラは想像力と開発スピードのバランスがとれていると感じます。

小林氏:先行者優位というのは多くあると思うんです。ナレッジやノウハウもそうですが、個人的に大きいのは人財に関してです。VRのコンテンツを作ったことがあるか、1年という期間継続して開発した経験があるか、そんなメンバーがいるかいないかが非常に大きい。2017年、2018年を迎えていく中で、2016年の1年間やってきた人達と一緒に開発できることは非常に大きいと思っています。私達の現メンバーは「VRチームがいい」「VRチームじゃなきゃイヤ」と言って入ってきたメンバーがほとんどなので、2017年以降も自信を持って質の高いゲームを提供していきます。

――:来年以降の展望や豊富、業界の予測などを聞かせてください。
 

小林氏:社長の馬場も言っていますが、ようやくハードが出揃って、2017年はコンテンツ側で何かが起こる時なのかなと考えています。「VRってこれだよね」というコンテンツが出てくるんじゃないでしょうか。我々からそれを出せればいいんですけど、もし仮にそうでなくてもVR業界の発展に繋がると思っているので楽しみですし、期待してほしいと思います。

何かしらの方向性は出ると思っているんですよ。例えば移動にフォーカスしたコンテンツで、「移動方法ってこれだよね」というものが出てきて、それがデファクト・スタンダードになり、周りの人が「移動はこれでいこう」と真似をし始める。後はVRの表現の仕方にもデファクト・スタンダードが出てくる……そういったコンテンツの方向性・基準が出てくる年だと思います。

VRコンテンツ開発チームに関しては粛々とコンテンツを作っていこうと思いつつ、日々新しいハード、例えば今後で言うと「FOVE」や「Daydream View」などの色々なハードが出てくるので、それらに対応させるか否かの研究はしつつ、従来のハードにもしっかりコンテンツを出せるような体制は整えていきたいですね。

マーケティング的には、VRの魅力が最大限伝わる体験会なども考えていかなければいけませんし、例えばVRゲームの体験版をモバイルでまず出して、興味を持ってくれた方をハイエンド機種に誘導するというコミュニケーションを取ることもあるでしょう。今ではYouTubeでもVRが体験できる360°動画コンテンツがある。動画をアップロードして「HMDを被ればこういう体験ができるんですよ」とやるのもいい。何が主になっていくか分かりませんが、会社の中でも考えていかなくてはなりません。

――:ハイエンド機種向けのコンテンツはコロプラで何本も出ていますが、モバイル分野で積極的にリリースをしていない理由はあるんですか?

小林氏:モバイル分野であるGear VR向けとして、2015年の5月に白猫VRプロジェクトを出させていただきました。ただ、VRが新しいプラットフォームになると信じているのは、やはり体験が今までにない画期的なものだからなんです。そこを鑑みるとモバイルVRよりハイエンドVRの体験の方が間違いなく素晴らしいと思っているので、ハイエンド機種向けにコンテンツを作っています。しかし、Daydream Viewも体験しましたが高い没入感を感じました。今後モバイルVR向けにコンテンツを全く作らないかと言われると「まだ分かりません」ですね。

――:ARやMRについてはどう思われていますか?

小林氏:我々が聞くARというと「HoloLens」「MagicLeap」を思い浮かべます。「HoloLens」は会社にあって現場のメンバーも試しています。といっても実際に普及するには技術的にまだ先かなと思っているのが正直なところです。見せ方としてクロマキー合成でMRの動画を作りますというものがあると思うんですが、あれも「2Dの動画で体験を表す」「ユーザー様に伝える」手法としては非常にいいので、ああいうやり方はあると思っています。

――:では、これを読んでいる方々にメッセージをお願いします

小林氏:コロプラは2017年も積極的にコンテンツを出していきます。PlayStationVRなのかHTC ViveなのかOculus Riftなのか、はたまたモバイルVRなのかは分かりませんが、コンテンツを作り新しい体験をみなさまに届けたいと思っていますので、是非遊んでみてください。

また、「VRでコンテンツを作ってみたい!」という方がいらっしゃれば、採用を行っておりますのでどしどし応募していただきたいと思います。興味があれば来ていただいて、一緒にコンテンツを作れたら嬉しいです!

――:ありがとうございました
 
(文:ライター  平工泰久)
(取材・撮影:編集部 和田和也)
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