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【インタビュー】やりたいことは向こう5年決まっている PSVRで『Rez Inifinite』をリリースした水口哲也氏が振り返るVR元年と今後の展望とは

2017年01月11日 12時00分更新

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テクノロジーがようやく水口哲也に追いついてきた。10月13日、PlayStationVRのローンチと同時にリリースされた『Rez Infinite』。中でも新たに制作された「AREA X」をプレイしたファンは誰もがそう思ったはずだ。

そして11月10日に発売されたPS4Proで『Rez Inifinite』の解像度は更に向上。通常のPS4でのプレイは自身の眼鏡の度数があっていなかったのではないか?と疑いたくなるほどの違いを見せてくれた。

思い描くビジョンとテクノロジーの貧弱さによる差が埋めきれず、四角い枠に絵を留めなければいけないストレス。本稿ではそんなレガシーの呪縛から解き放たれた 米Enhance Gamesのファウンダーであり、クリエイターの水口哲也氏に2016年の動向や、今後の展望・取り組みをインタビューする。


■待望の『Rez Infinite』が発売。2016年の振り返り、そして未来の話
 

米Enhance Games
クリエイター・Founder
水口 哲也 氏


ーー:よろしくお願いいたします。いわゆるVR元年とよばれる2016年を振り返っていただいてどうでしたでしょうか

水口氏:VR元年ではありますが、今回の『Rez Infinite』の構想やプリプロダクションを3年くらい前から準備しており、かなり待ち望んでいた年でもあります。『Rez Infinite』を、2016年の本当に良いタイミング、良いクオリティのコンテンツでリリースできて良かったと思います。

そして今年、本当に嬉しかったのは、アメリカの「The Game Awards 2016」という、ゲーム界のアカデミー賞のような祭典があり、新たに新設されたVR部門で「BEST VR賞」をいただいた。これは、名実ともに世界で一番のVRゲームだったということを言ってもらえたということだと思います。それは本当に励みになりました。

ーー:本当に完成度が高いなという印象をプレイしていて思いました。PSVR以外のハードの動向を聞かせてください

水口氏:VR以外のハードやプラットフォームも、今後ARやMRを含めて、来年、再来年とドンドン出てくると思います。自分たちの構想の中では、どんなハードが来てもやりたいことが実現できる、色んなテクノロジーは常に見ていきたいです。そして自分たち自身も進化してきたいと考えています。そういう意味では本当に始まったばかりだなと思います。
 

 
ーー:クリエイター達の動向に関してはどうでしょうか

水口氏:日本は比較的、ゲームを作っている方が多いですね。グローバルで見ると、多様性・多様化が進んでいて、ジャーナリズム、ニュースメディアの延長としてVRメディアをやってる人がいる。教育や様々な分野で、VRやARを考えている人もいる。まだ表に出てきてないですが、凄く多くの人が世界中で活動しており、それが来年、再来年になって一気に出てくるのではないでしょうか。

そういった中で、この先は、自動運転、ブロックチェーン技術、人工知能などが色々なことが同時に表れ、いかにそれを複合的に、立体的に捉えるかという視点が大事になってくると思うんです。僕達はゲームっていうものを1つの表現メディア、体験メディアとして、自分たちの良いと思うエンターテイメントを出していきます。

しかし、VRやARといった業界を全体で考えると、もっともっと大きいものになるだろうなとは考えています。

ーー:クリエイターで、色んな分野に対してアンテナを張っていくことが重要になると

水口氏:重要だと思います。そうしないと本当に状況を見誤ってしまう。実際、僕が、お付き合いしてるクリエイター達でも、ゲーム以外の方々がたくさん増えてきている印象があります。

ーー:そこからまた新しいゲームや、別の分野での新しいものが生まれてくる可能性はありますか

水口氏:新しいエンターテイメントが出てくると思います。インタラクティブなエンターテイメントはゲームの特権みたいなところがありましたが、その考え方も時間をかけて変わってくるのではないかと。

ーー:他の方のVRコンテンツで気になったものがあれば教えてください

水口氏:特定のものはありません。ただサーフィンの実写VR映像などを見ると、解像度はまだまだ足りませんが、凄く未来を感じます。波のチューブの中に自分が入って、前を向く、後ろを向く、中に入るとこういう感じなんだという体験。今まで絶対出来なかった体験がVRでできるようになったのが凄いなと思いました。


ーー:今年のエンハンス・ゲームズの取り組みに関して教えてください

水口氏:まずはシナスタジア・スーツですね。あの発想自体はもう15年前、『Rez』を作っている時から、PS2のUSBに挿して使うトランスバイブレーターというデバイスを作っていて、コントローラーから来る振動と、そのトランスバイブレーターを交互に音楽と連動して、立体的に身体を揺さぶる事をしていました。

そういう1つのプロダクトであったけれど、1つの試みでもあった。あの頃からチェアやスーツの発想があって、全身に拡張させたいという想いがありました。

今回『Rez Infinite』を作るにあたって、結構、早い段階でその夢を実現してしまいたかった。それで、共感覚スーツ、シナスタジア・スーツの構想を色んな方に話してたら、「一緒にやろう」って言ってくれる人が出てきてたんですね。

26個の振動素子が入っていて、それをLEDで色と光に変えて、誰でも装着できるスーツを作る。これは結構難しいオーダーなんですけど(笑)。

ーー:再現するのはとても難しそうです(笑)

水口氏:はい(笑)。それを再現してくれたのが、ライゾマティクスであり、僕が特任教授をやってる慶応大学のメディアデザインの学生も含めた研究者の方々、そういう人たちに協力してもらって、このシナスタジア・スーツが完成したんです。

丁度、1年前にアメリカのサンフランシスコで開催された「PlayStation Experience」で5千人くらいの人の前で、スーツを着て出て、『Rez Infinite』を発表して、もう3年前の気がするけど、まだ1年前ですね。

シナスタジア・スーツは、1つのコンセプトを伝えるために作ったコンセプトモデルでもありますが、それを使ってメディアアートにしてしまおうってアイディアが出て、六本木ヒルズの展望台の上で、夜景をバックにVRを皆で楽しんでもらうという作品になっちゃった。

ひとりのVRの体験を視覚・聴覚・触覚の全部を、その空間全体に拡張するというプロジェクトをやって、あれも一つの事件でしたが、凄く面白かったです。あの時、未来に向けて色々なインスピレーションを持ちました。
 
 
ーー:その場に居た方のリアクションはどういったものでしょうか

水口氏:やっぱり皆言葉が出てこない。終わったとき、その体験を、その気持ち良さを、どう表現していいかがわからない、、みたいな。

ーー:新しい感覚であると

水口氏:ですね。それこそがやっぱり僕らが目指したものです。たぶん時間をかけて、みんなゆっくり表現できるようになってくると思うんですよ。それくらいVRの体験は新しいんだ、ということを味わってもらうことができたのは、すごく嬉しかったです。

VRの中の世界だけではなく、シナスタジア・スーツみたいな「デバイス」と一緒に、新しい試みをやるっていうことも続けていきたいです。それがアートプロジェクトなのか、イベントなのか、リアルなプロダクトなのかはまだわかりません。

今度、2017年1月19日にアメリカのサンダンス映画祭に『Rez Infinite+シナスタジア・スーツ』が招待されています。招待展示で映画祭に招待されるって面白いなと。ニューフロンティアという部門があって、彼らは、映画はストーリーテリングのメディアだって捉えている。VRが、彼らの視野の中に入っているんです。

ーー:2017年の動き、水口さんの動き、VR全体としてはどうでしょうか。

水口氏:僕や僕の周りのスタッフの中では、やりたいことが向こう5年位は決まっているかな。いろいろやってみたいことがあるんです。それを粛々と実現したいですね。でも今の一般のお客さんの反応を見ていて怖いのは、VR機器を買ったけど、だんだんやらなくなって、埃を被っていく。そんなことがあったら一番嫌ですね。だから早く作りたい。でも、そんなに一気には作れない。そこに凄いジレンマがあります。もしVR機器買ってみたけど、1、2本やって終わってる人がいたとしたら、それはちょっとまずいなと。

ーー:もったいないですよね。

水口氏:「AREA X」も最初から開放しようかって話もしてました。結局1時間遊んだらアンロックされるようにしましたが。『Rez Infinite』自体が、たとえば『サマーレッスン』のようにわかりやすいものではないので、ちょっと伝えるのに苦労する。これ何のゲームなのって。

ーー:マーケティングしにくいところはあると思います(笑)

KYOKO氏(Enhance Games マーケティングディレクター):しにくいのは確かです。動画を作るにも、色々練って、思い通りに見せたいって形にするには、かなりハードルが高いし、言葉で表現しても、凄い抽象的な言葉を繋げても、よりわからなくなる。シンプルに語ろうとすると、シューティングゲーム?これ何?となって誤解を招く。ちょっとストレートに言えないゲームですよね。

水口氏:時間はかかるだろうなって思います。でも、15年待ちましたからね。全然大丈夫です(笑)

ーー:最後にメッセージをお願いします

水口氏:PSVRを持っていて、まだ『Rez Infinite』をやったことがない人がいるなら、本当にやっていただきたい。これは、切なる願いです。ぜひ、AREA Xを体験してみてください。そしてPSVRを持っていない人でも、『Rez Infinite』はVR専用ではなく、PS4で普通に遊べます。PS4Proにも対応しており、4Kクオリティのビジュアルに驚かれるのではないかと思います。

そして、そのうちPSVRが手に入ったら、VRで体験すると、『Rez Infinite』 は更に何倍も新しいという感じになるはずなので、ぜひ何度も、そして長く遊んでほしいです。

ーー:ありがとうございました。
 
(取材・文・撮影:編集部 和田和也)

 
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