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【Unite 2017 Tokyo】『オルタナティブガールズ』はいかにして「どこから見てもかわいい」を実現したのか―モデリングからVR対応まですべての秘訣を紹介

2017年05月16日 11時35分更新

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▲QualiArts クライアントエンジニアの渡邊俊光氏。

 
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンは、5月8日~9日の2日間、Unityに関する国内最大のカンファレンスイベント「Unite 2017 Tokyo」を東京国際フォーラムで開催した。5月9日には『オルタナティブガールズ』に携わるQualiArtsのクライアントエンジニア・渡邉俊光氏による講演「『オルタナティブガールズ』~50cmの距離感で3D美少女を最高にかわいく魅せる方法~」の内容を紹介する。

 
 

■「キャラクターの柔らかさ」を表現するためのこだわりとは

 

『オルタナティブガールズ』はスマートフォンVRへの対応を売りにしており、どこから見てもキャラクターをかわいく見えることを目標に開発が進められてきた。アニメーションやフェイシャル制御、シェーダーなど、あらゆる箇所で工夫を凝らしているのだ。
 
まずはキャラクターの元となるモデル仕様だが、モバイルの最低動作端末を決め、メモリ使用量とGPU負荷に気をつけることが大切だと渡邉氏。『オルタナティブガールズ』では開発職にiPhone4S上で実行し、負荷を検証したという。またゲーム内では最大8体のキャラクターが登場するため、LODメッシュを生成。このとき、LOD化アセットはAssetStoreにあったCruncherを採用し、ここで生成したメッシュはPrefab内に格納。AddObjectToAssetを使用すると、Prefab内にもメッシュを入れられるため便利だという。
 


続いてテクスチャは顔のパーツを特にリッチに制作。これもすべて、至近距離でのキャラクターのかわいさを最重要視しているためだ。アニメーションはStateにより切り替えという一般的な手法は取らず、OverrideAnimatorControllerでクリップを差し替えて再生する仕組み。これにより5000個近くのアニメーションファイルを切り替えることが可能になった。
 

アニメ風の表情も本作がこだわっている箇所のひとつだ。アニメーション周りはスクリプトが介入しないように、すべてBlendShapeで表現。BlendShapeのターゲットは合計100種類以上あり、口や目、拡張パーツを組み合わせてさまざまな表情を作成できるようにした。口パクに関しては合計41種類の口の形を登録し、音声に紐付ける形で口パクを再生している。
 

 

キャラクターのかわいさを追求する上では、レンダリングへのこだわりも欠かせない。エイリアシングはかわいさの敵なので、アンチエイリアスは必須。『オルタナティブガールズ』では1280×720に対するMSAA×4を採用しており、高解像度化するスマートフォンに対して、低解像度のため負荷も削減できている。
 
これに加えて渡邉氏は「キャラクターの柔らかさ」も重要であると話し、その実現のためライティングと質感を特に重要視したという。ライティングはToonShaderによく見るRampを用いた方式で、モデラー側で自由な陰影を付けられるようにした。また表情をより明るく見せるための方法として、ライトの方向は単純なDirectionalではなく、顔がカメラを剥いたときに明るさ補正をすることもポイントだ。
 


質感はすべてスフィア環境マップで表現する。低負荷で“それっぽい”さまざまな質感が表現できるため、モバイル向けのゲームでは特におすすめだという。続いて渡邉氏は各パーツをより良く見せるための方法も紹介。表情を決める際にもっとも重要な目と眉は最前面に置くことが大前提で、さらに不透明領域マスク用のスキン、白目、瞳+ハイライト、前髪、髪の毛という順番で表現する。
 
レンダリングに関してはstencilをうまく使うことでさまざまな表現が可能になる。キャラクター事態の透過にはDitherパターンを使用したClip処理で対応。これは描画中のαチャンネルとの競合を避けるほか、メッシュがバラバラなため表示が汚く、これを補うためだという。
 
キャラクターを引き立たせるためにポストエフェクトを実装している点も大きなポイントだが、ブラーは一部のアンドロイド端末で非常に高負荷なため、多用することは難しい。ちなみに『オルタナティブガールズ』では、「ディフュージョンフィルタ風」「なんちゃってDOF」のポストエフェクトを実装している。「ディフュージョンフィルタ風」はコントラストを上げ、ブラー結果と合成することで光があふれる見た目になる。これにより、キャラクターの柔らかさをうまく表現できるのだ。そして「なんちゃってDOF」とは一般的なそれと違い、Stencilを用いた負荷の低いDOFのことだ。
 
 

■スマホVRはある程度の割り切りも必要

 
続いて渡邉氏は、『オルタナティブガールズ』の強烈な個性となっているVR対応に関する苦労話も披露した。それによると、本作の開発初期、2年以上前からVRの導入は決まっており、すべてVR前提での設計で開発を進めてきたという。しかし初期段階では、画面上ではきれいに見えてもゴーグルを通すとメッシュの凸凹が分かってしまい、さらにテクスチャ表現はキャラクターに硬さが出てしまうなど問題がたえなかったという。
 
また独自のVR実装か、CardboardSDKを使用するかの比較・検討も開発中には行っていたそうだ。当時発売されていたVRゴーグルを一通り購入し、ひとつひとつ相性を検証。その結果、『オルタナティブガールズ』では独自のVR実装を採用することになった。CardboardSDKは描画結果が中央付近で引き伸ばされているため、解像度が低いとぼやける欠点がある。その一方で独自VRは描画結果に変更を書けるのではなく、最初から歪ませているため中央の解像度を維持できる。
 


そしてAndroidでは端末によって動作に問題が出てくるのも課題であったという。端末を指定して、個別挙動させる必要があり、ここにもっとも時間をかけたそうだ。
 
最後に渡邉氏は、50cmの距離で見ても違和感のないように調整すること、そして感情を表現する顔は、3Dチームと念入りな仕様決定することが重要であると話す。VR対応に関しては、ゴーグルとスマートフォンの組み合わせが数え切れないほど存在するので、ある程度の割り切りが必要との見解も示した。とはいえ、スマートフォンVRでもシチュエーションをしっかりと考えれば充分なインパクトを出せると述べ、講演を終えた。

(取材・文:ライターユマ)



■『オルタナティブガールズ』
 

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©CyberAgent,Inc.
©QualiArts,Inc.
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