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【セミナーレポート】SIE秋山氏「非ゲーマーはインタラクションが多いと逆に疲れる」 VR動画のターゲットを意識した制作とは

2017年07月11日 12時05分更新

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デジタルコンテンツ協会と早稲田大学 理工学研究所は、6月29日、東京ビッグサイトにて、セミナー「VRビジネスを始める前に押さえておくべき6つのポイント」を開催した。

登壇者には、

バンダイナムコエンターテインメント(以下、バンダイナムコ) 「サマーレッスン」プロデューサー/ディレクター 玉置絢氏
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE) ソフトウェアビジネス部 次長 秋山賢成氏
早稲田大学 基幹理工学部 表現工学科 教授 河合隆史氏
*登壇順

を迎え、これまでの経験や取り組みの事例と、そこから得られた知見についての紹介を行った。

本稿では、SIE ソフトウェアビジネス部 次長 秋山 賢成 氏の登壇の様子をお届けする。
 

■VRでやる意味、そのコンテンツをプレイする人はどんな人ですか?

 
 
次に登壇したのはSIEの秋山氏だ。同氏はノンゲームのビデオコンテンツについて、4つの観点からその知見を語ってくれた。

まずはSense Of Presence(センス オブ プレゼンス) - 実在感だ。VRの制作を行う上では、もはや必須と言っても過言ではないポイントでもある。Sense Of Presenceは、作り込みが甘いと簡単に壊れてしまうため、それを壊さない事が VRコンテンツの最高の表現の条件の一つであると説明した。
 

ではどうすることで壊れてしまうのか。その要因としてフレームレートの処理について挙げ、コンテンツ自体のレイテンシー(遅延)をを少なくすることが、Sense Of Presenceの中で非常に重要だとしている。

実際に我々が現実世界で見ている世界とは異なり、VRの世界はコンピューターで動かしているため、様々な処理が入ってくる。その処理が多いほど情報の遅延に繋がってしまう。遅延が発生すると、自信が見ているものの認識の誤差が大きくなってしまうわけだ。

そのため、できるだけ処理に関しては低遅延、できる限り60フレームより高い値を目指す必要があり、60フレームは必須項目であると強調していた。
 

更なるフレームレートを求めるのは技術的に難しいところではあるが、幸いにもPlayStation VRにはハードウェアの機能としてリプロジェクションという優れた機能が用意されている。この機能の簡単な説明を行うと、その人が未来に見るであろう映像を先に計算して表示をするという仕組みで、60Hlzのものを120hlzに変換することも可能となっている。

こういった機能もSense Of Presenceを崩さないひとつの仕組みだと秋山氏は紹介した。
 

では、フレームレート以外にSense Of Presenceを高めるには方法はどういったものだろうか。これについても秋山氏は過去の事例に基づいた例を紹介してくれている。結論から言うと、そのコンテンツにおいて、技術的に正しさや、設定上の値を正確に反映させることが必ずしもリアルさ、実在感を高めるわけではないということだ。

例えばアニメは空想の世界だ。その世界の中で設定上の身長は150cm可愛い女の子がいて、VR内でその値を設定しても思ったより大きく見えてしまうようなケースがあるということが、ままあるようだ。

実在感を高めるためにはあくまでも”その世界観にあったリアル”さを繰り返し調整していくことが重要だという。
 

そして、今回のお題ともなったVR映像の話だ。秋山氏は、「ドラマなどのストーリー性を持ったコンテンツは主人公に自分がなれるという設定がしやすい」で非常に相性が良いと話した。
 

とはいえ作り方を誤ると、そもそもVRである意味がなくなってしまうコンテンツになる危険性もあるようだ。そうならないためのポイントとして、一番大切なポイントは"視聴者を置いてきぼりにしない"ところが非常に重要だとアピールした。

演出上こうあるべきみたいな視点で話が進んで行くと、主観視点であるのに「自分が誰なのかわからない」ということになりがちで、結局今までTVで見ているような体験と一緒になってただ見ているだけになってしまうということだ。

この状態ではVRならではの実在感がなく、そもそもVRでやる意味があるのか、ということになってしまうわけだ。
 

さて、次のお題はVRとは切っても切れない"酔い"の話だ。 秋山氏は酔いについて「VRのコンテンツを作る上では、十分だけではなく十二分にケアをしなければならない重要な課題」と強調した。

VR業界では有名な例え話である、VR酔いは食あたりと一緒で、一度当たったものは食べないという内容だ。コンテンツの価値を殺さないためにも酔いに対しては十二分に考えて作っていく必要があると改めて強調した。

では酔いに対しての対策についてだ。これについては非常にシビアな解決策を提示している。というのも、表現のリッチ化を目指すとグラフィックの処理が重くなり、動きの激しい演出など入れて体験者を驚かせたいなど色々考えると思うが、多分大丈夫だろうと思ってやった事は、酔うのだという。

そしてこの問題に関してテクニカルに解決をすることを掘り下げ、それができないようであれば、きっぱり諦めた方が良いと断言している。
 

▲デジタルハーツがVR酔いのためのデバックサービスを行っているくらい重要な課題だとした
<関連記事>【インタビュー】デジタルハーツの酔い対策サービスがいよいよ開始 酔いやすさをスコア化して見えたものとは?
 

話は変わってVR動画の話だ。VR動画は、映像を360°見渡せるため、その世界の中にいるかの様に感じるが、実際にはその球体の真ん中にいて動けない状態だ。ではその距離感の演出、立体視化のために3Dのオブジェクトを作って置くと、輻輳角(ふくそうかく)の問題が出て、目に負担がかかってしまう。

これはどういうことかと言うと、遠くにある物体を見る際に、自信の指をその前に配置することで目の焦点が合わなくなり、収縮が起きている状態だ。
 

そういった問題がある中で、秋山氏はSIEはカヤックと協力して、VR映像の新たな表現としてVRプロジェクションマッピングにチャレンジをしていると明かしている。プロジェクションマッピングは、建物などに映像投射する技術で、過去には東京駅のイベントでも話題になっており、単語だけでも聞いた事がある人は多いだろう。

360度動画は距離が掴めないが、ポリゴンを様々な位置に配置することで、その位置関係によって距離が判定できるため、そのプロジェクションマッピングをVRの中で行ったら新しい映像体験が作れるのではないかと考えたとのことだ。
 

その記念すべき、ファーストコンテンツが7月12日に無料で公開予定の『傷物語VR」だ。 
 

最後にインタラクションの話だ。インタラクションはSense Of Presenceでも重要であると秋山氏は説明した。

これが実際のところどういう効果を生むのか。PlayStation VRのローンチタイトルである『PlayStation VR Worlds』というゲームを使って例を挙げた。

同タイトルは、『PlayStation Move』という モーションコントローラーを2本使って、銃を掴んで売ったり、扉を開けたりとユーザーが仮想世界の中で能動的にインタラクトするゲームとなる。
 

こういった様々な仕掛けで、体験者の行動し世界観が変わり、それによって気持ちが仮想世界に留まるようなインタラクションを起こし、仮想世界へ夢中にさせることが、Sense Of Presenceに繋がると一つの答えを語った。
 

話は更にターゲットを絞っていく。今回の主題でもあるノンゲームでインタラクションのある動画コンテンツの体験者はどんな人なのだろうか。秋山氏が想定しているのは「恐らくゲーマーではない人が多い」だろうとのことだ。

そういった想定の為、ゲームの文脈でコンテンツを作ると、過剰で能動的なインタラクションというのはゲームをしない層には疲れてしまう、そのため逆にSense Of Presenceを剥がす可能性があることがわかったと強調した。

『傷物語VR』に関しては、その辺のケアをして作っており、インタラクション部分があまりないが、逆転の発想として、仮想世界側がその世界の空気に合わせた変化をし、自信に干渉してくるように製作したのだという。

同コンテンツに関しては、5月に体験会を開催しているが、秋山氏は「この試みによって受動的な体験者の気持ちをVRの世界にどんどん取り込んで、惹きつけることができた」とその成果を明かした。

この根拠として実際、ゲームをあまりしない人とっては、『傷物語VR』が「VRの体験として今までで一番楽しかった」という声や、「初めて長時間したい、できるようなVR体験でした」 でしたというコメントが沢山いただいた、とのことだ。

そして、これらの事から考えた結果、届ける層へのターゲットが重要で、インタラクションの調整に関しては、そこを目安に考えた方がいうのが秋山氏の結論だ。

『傷物語VR』は7月12日に公開されるため、これらの内容を踏まえた上で体験すると、制作者側の意図も見えてくる部分があるため、開発視点からも興味深いコンテンツになりそうだ。

最後に秋山氏は、VRの体験者を増やしてもっと一般化することが大切だとし、SIEとしても、ソニーストアや大手量販店など様々な店舗で体験イベントをやっていくとアピールした。更にVRの体験がどんなものか我々プラットフォーマーとして伝えて行く義務があり、この機会に皆さんもプレーして欲しいと締めくくった。

<続く>
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