Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト、ディライトワークスに関するVRセミナー記事

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【CEDEC2017】「顕在化していない声に応える」 ディライトワークス塩川氏の語る『FGOVR』を支える“非常識”な企画術とは?

2017年09月01日 10時52分更新

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パシフィコ横浜にて開催されているCEDEC2017。その2日目において、今をときめく『Fate/Grand Order』(以下FGO)PROJECTのクリエイティブディレクターである塩川洋介氏(写真)が、「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライトを支える、“非常識”な企画術」と題する講演を行った。
 

『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』(以下FGOVR)はFateシリーズとして初のVR作品であり、初披露となった2017年3月のAnimeJapan 2017先行体験会では筆者も自力で当選してプレイ。

その時の様子はこちらの記事でも紹介した。2日間で約2000人というプレイ人数は、同社がどれだけ力を注いでいるか、どれだけ準備をして臨んだかが窺える数字だ。

今セッションではそんな経験も元にして、VR展開を進める聴講者にノウハウを伝えた。
 

行ってみて驚いたのは、その人数。会場は立ち見すら満員となるほどの状態で、中に入ろうと扉を少し開けただけで人に当たってしまうのだ。

実際に入れない方々も続出していたため、注目度の高さが分かるというものだろう。

皆さんご存知であろう『FGO』は現在900万DLで、1000万DLも目前。国外への展開も顕著で、海外DL数だけでもすでに1000万DLを突破しているタイトルだ。

大型イベントを開催する度にDAUの最高値を更新しているそうだが……その実感は、メンテ明けの度に右下で走り続けるけものが与えてくれる。
 

『FGOVR』に関しては塩川氏が最初から起案して作っていたゲームであり、各地で行われている先行体験会にはこれまでに5000人以上が参加しているとの事。

筆者も含めて体験した後の発言は脳が蕩けている事が多く、これはVRを楽しんだ者特有の発言でもある。

ちなみに、添付画像の人物はなんとOculusのパルマー・ラッキー氏。「どうしてもやりたい!」とディライトワークスを訪問した時の一コマ。
 
 

■「非常識な企画術」


塩川氏は『FGOVR』を企画する上で、3つの非常識なコンセプトを考えたそう。

今回のセッションは、それを通じて「どんなゲーム制作にも役立つヒントを持ち帰っていただく」事を目的としている。では、順を追って説明していこう。

コンセプト1:特別な日常
 

VR企画をゼロからスタートした際、ターゲットは全FGOユーザーにしたと同氏。

しかしそもそもFGOユーザーはスマホゲームのユーザーであるため、遊ぶのにVR機器を必要とするゲームとなると遊んでもらえるかどうか難しい。

しかしFGOユーザー全員に遊んで欲しい、ではどうするか? そこで選択したのが次の2点。
 

1.全マスターが、遊べる

ユーザーの遊び方も様々、お迎えしている人気キャラも様々な中で、マシュならば、どんな状況下でも全マスター全カルデアでお迎えしている。

全ユーザーが等しく遊べる状況を、と考えた時に、「マシュのゲームにしよう」決めた。


2.全マスターが、遊びたくなる

全マスターが『FGOVR』を見て遊びたいと思わせるにはどうすればいいか? そこで鍵となったのは礼装「パーソナル・トレーニング」だ。

「モナ・リザ」と入れ替わりで登場したこのえぐるようなハイレグレオタードの礼装は意外と古く、タイミングのおかげで復刻があってからもあまりフレ欄でもお目にかからないが、特筆すべきは戦闘と離れたワンシーンを切り取ったところにある。

『FGOVR』においてこのパーソナル・レッスンを選んだ理由は、「マスターとしてあったかも知れない」というシーンであり、マスターの妄想、希望を実現させたものなのだ。


◯コンセプト1のまとめ
 

この上記二つのポイント、「全マスターが、遊べる」「全マスターが、遊びたくなる」をコンセプトにして「日常感×特別感」をミックスしたものが「遊びたくなる『FGOVR』」につながっている。

マシュが居る事は全マスターにとって親しみのある日常。一方で、ただ親しみがあるだけではなく、『FGOVR』でなければ体験できない特別感がある。

これをスマホユーザーへの誘引としたのだ。「特別な日常」だけれども、「居心地がよい、VR」を目指す事に重きを置いた。
 


コンセプト2:マシュ詣。

2017年冬の配信開始に向けて開発が進む『FGOVR』は、同年3月のAnimeJapanを皮切りに、何度も体験会を行っている。(なお現在プレイできるのはアドアーズ秋葉原店)

体験会を想定した企画の『FGOVR』だが、ただ体験できれば良いというものではなく「展示の目玉」である必要があったため簡単ではない。

実際、AnimeJapanではFGOブースの多くがVRとなっており、展示会全体で見ても大変大きな盛り上がりを見せたブースでもある。
 

そもそもFGOユーザーはスマホで毎日マシュに会ってつんつんしているので、それを「展示の目玉」としてユーザーの興味や満足度を満たすにはどうするか?

マシュVRに会いたい、という欲求をどう生み出すかを考えた時に、次の二つを柱に置いた。

1.会いに行った人だけに特別感を
2.会いに行くイベントごとに演出を

これについて、『FGOVR』は「遊んではじめて分かる」をコンセプトに作られている。

初号PVを観ても内容が分からないようになっていたのだ。だからこそ、「会いに行った人だけの特別感」が生まれるのである。

思えばかつての『Kitchen』も秘密主義的に作成・公開されており、この辺りはVRの強みであり拡散性の上では課題ともなるのだろう。

イベントごとの演出は、会場でどうVRに辿り着くか?

どんな感想を得るかまで考えてコンテンツを設計しているらしく、「プレイまでの時間や自分の行動も楽しみのひとつ」とする事で満足度を高めている。

「マシュというキャラクターに会いに行く過程まで含めて、FGOVR」というコンセプトで設計されているのだ。




◯コンセプト2のまとめ

なんかもうまとまってる気もするが、「マシュ詣。」とは、即ち「会いに出かけたくなるVR」である。

親しい人に会いに行く事は、その道程も楽しく心躍るもの。

だからこそ、コンテンツ=VR映像ではなく、コンテンツ=自分の行動すべてとして楽しみを引っ張る事に注力したと言える。




コンセプト3:5秒に1マシュ。

先ほどのマシュ詣にも関わってくるのだが、「居心地がよく会いに出かけたくなるVR」だけでは「VRやってきた」という一言で終わってしまう。

情報としてシェアできるものがない事こそ問題なのだ。これはVRの弱点であり、「やらないと分からない」と言われる所以でもある。

それを克服するために生まれたコンセプトが、5秒おきに1回のマシュ。

バランスボール上のあざといマシュだったりお着替えマシュだったりという、ユーザーを飽きさせないアクションと呼べるかも知れない。



塩川氏いわく「語彙を失った感想」が、「なんかもう色々すごかった!」「マシュのマシュがマシュマシュでどうにかなりそう」という感想であり、このような感想が出るであろうと逆算してすべての内容を組み立てた側面もあるとの事であった。


◯コンセプト3のまとめ

「声に出して言いたくなるVR」が5秒に1マシュであり、てんこ盛りマシュの話題に多様性がある事で、情報をシェア拡散できないというVRの弱点を補おうという部分がこのコンセプトと言えそうだ。
 

■『FGOVR』の3つのコンセプトまとめ




1.居心地がよい、VR
2.会いに出かけたくなる、VR
3.声に出して言いたくなる、VR

『FGOVR』はこんな3つのコンセプトを持ったコンテンツであると塩川氏。

また、同氏は「これらは普通の事のように思えるが、まだまだ全然やりきられていない」とも発言。

VR業界で当たり前だと思われている事が、お客さんに届いていない非常識な事になっていたりする。

当たり前の事柄だが、これらを掛けあわせて実現しているタイトルは中々ないのだ。

VRの特徴として扱われ一見対処されているように見えるものも、実は深掘りされていないのだという。
 



そして、『FGOVR』の非常識な企画術は、『FGO』の開発運営を支えるある秘密があるという。

それは、「顕在化していない声に応える」という事。顕在化している声は「これが欲しい」「これが見たい」「これを作りたい」などで、もちろん重要な要素。

これらに応える事は納得を生む。しかし、「顕在化していない声を実現する」と爆発を生むのだそう。

思い起こせば、『FGO』は、この「顕在化していない声を聞き続ける事」が何度もあった……。



最近では石購入時のおまけを1.5倍にした事が記憶に新しいだろう。かくいう筆者も欲に囚われ、命より大切な諭吉を生け贄に捧げたものだ。

なお、ヤクトマンサバスターな斬撃皇帝も美尻バイカー我が王も当カルデアには実装されていない。

それより遡ると、やはりガチャ石が4個から3個に変わった事が大きかろう。

あの時も「えっ、そんな要望なかったでしょ? 何? どうしちゃったの? 終わるのこのゲーム?」という戸惑いの声の方が多かったと記憶している。

これらは明確に事実上の値下げだが、話題性は超最高で、それまで以上のユーザー数獲得に成功している。

『FGOGO』であっても4/1ネタとしては割かれたリソースが大きく、その最後にはある人の奇行も含めて大きな話題をさらっていった。

TYPE-MOONは毎年4/1ネタの雄として名を馳せているが、あれは路地裏時と同じくらい楽しめたかも知れない。

ただマーケティングするだけじゃない、クリエイトする本懐がそこにはあった。

では実際に顕在化していない声をどう見つけるか? という疑問に対し「邪念があると見つけられなくなる。お客さんの喜ぶものが見つかりづらくなる。何をしたら面白いかを突き詰めていくと、顕在化していない声が見つかります」と塩川氏。

これは、どんなゲーム制作にも役立つヒントだという。

セッションのゴールは、「顕在化していない、声を探そう」という事。

そして最後に、ディライトワークスの開発理念も絡め、「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう」とすれば、そこに辿り着くとしてセッションを終えた。
 

 
(取材・文:ライター 平工泰久)
(編集:和田和也)
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