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【イベントレポート】爆笑から垣間見るトップランナー達の情熱 水口哲也氏、コヤ所長、タミヤ室長 、國光宏尚氏登壇の「ゲーム・エンタメのこれから」をお届け

2017年11月22日 12時00分更新

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VRコンソーシアム(VRC)は、11月11日、東京渋谷区にあるMixiのオフィス内で第三回「VRCカンファレンス2017ファイナル」の開催を行った。 VRCカンファレンス内では、様々な各界の有識者によるセッションを行っている。

本稿ではEnhance ​CEOである水口哲也氏(写真左)、gumi 代表取締役社長の國光宏尚氏(写真中央左)、バンダイナムコエンターテインメントのコヤ所長(小山順一朗氏 -写 真中央左)&タミヤ室長(田宮幸春氏 - 写真中央右) 、らが登壇した「ゲーム・エンタメのこれから」の様子をお届けする。

まずは登壇者の紹介だ。國光氏は今でこそソーシャルゲームの売上を主体とする企業gumiの代表であるが、元々は映像クリエイターだったとのこと。

そこから何故VRに行ったのかという水口氏の質問に対しては、「新清士*さんにそそのかされた」と冗談めかしながら國光氏は返答していた。
*ゲームジャーナリストであり、現在はVR企画開発を行う「YOMUNEKO」の代表。「YOMUNEKO」はgumiのグループ会社でもある。
 

 


 

続いてはコヤ所長とタミヤ室長の紹介だ。バンダイナムコエンターテインメントのVRをはじめとする最先端技術でエンターテインメントの未体験領域を開拓するバンダイナムコのプロジェクト「Project i Can」に所属している。

水口氏は「VR ZONE、今凄いことになっています」という話しを途中で遮るかのように、コヤ所長が「いやいやいやいや、お二人は社長。道なき道を切り開いたお二方。私たちはサラリーマンですから!!」と会場の笑いを誘った。

このテンションに水口氏も「あれ、俺の思っていた感じと違う。全部持っていかれてしまう」とモデレーターとしてのセッションの空気の方向性を危惧するかのように笑顔でたじろいでいた。

なお、モデレーターを務めた水口氏は2016年に共感覚シューティング『Rez Infinite』をリリース、2016年の「THE GAME AWARD 」のBest VR Gameを受賞している。2017年にはPC版とDayDream版の『Rez infinite』をリリースした。

本日のお題は「ゲーム・エンタメのこれから」だ。ゲームは生理的な体験からストーリーテーリングといった物語を体験するゾーンがある。

技術的な部分ではアーケードから始まり、家庭用、スマートフォンに至るまで様々な機器でゲームをプレイしている。ではVRの現在はどうだろうか。

水口氏は「簡単にな言うとVRがようやく使えるようになった」いうのが今の段階だという。

コヤ所長は「まだまだ不格好なデバイスです。歩き回るには全身おかしなスーツを着るとか…」といったところで、國光氏が「スーツというと水口さんが…」とツッコミ、再び会場が爆笑に包まれた。

これには「今日は何を言ってもひっかかる」とタミヤ室長も嬉しそうに話していた。

 

コヤ所長は「我々は売れたハードにコンテンツを供給する会社です」と語った。

ただ「スマートフォンゲームで儲かってるのに、全然お金出してくれない。そんな中でVRをやるのは大変だった」と当時振り返っていた。

これを聞いた國光氏は「VR ZONE SHINJUKUはいくらかかったんですか」という質問を投げかけた。

コヤ所長によると、とある超有名タイトル1本よりはかかっていないかもと返答。来場者はその瞬間にいくらだろうと思案することになった。

タミヤ室長が「それくらいで止めましょう(笑)」というも止まらず、國光氏の「10・・・」という発言は、コヤ所長の「そんなもんじゃないですよ」という発言で再び会場は大きく沸いた。

國光氏は「VR ZONE SHINJUKUはそんなにかかってるんですか」と驚きを隠さなかった。

水口氏はVRに懐疑的な状況からどうやって新宿に大きな施設を構えるまでになったか興味がつきないようだ。

バンダイナムコエンターテインメントでは「高所恐怖SHOW」の開発の際に同社の会長にも体験してもらったそうだ。実際にプレイした際には怖くて渡れず、最後には四つん這いになったというエピソードを披露した。

その際にはバンダイナムコホールディングス内の重役もいたようで、代わる代わるプレイしてもらったが同じような反応になりその際にかなりの手応えを感じたとのこと。

とはいえ、すぐに予算が取れたわけではなかったようだ。「その先はどうしたんですか」と水口氏が尋ねると、コヤ所長は満面の笑みで「もうね、作っちゃったんです」と語り、再び会場は爆笑に包まれた。

もちろん開発に至るまでの周到な準備はしていたそうだ。社長に「VIVE」を使ってだいぶ昔に『TILT BRUSH』や『THE BLU』などを体験してもらった際の反応の良さがあり、上層部としてはVRを使ったエンターテイメント開発への意図はあったそうで、そういった意味では動きやすかったとタミヤ室長がフォローした。

お台場の「VR ZONE」もアパレル店舗の居抜きを利用したため、そこまでの費用はかからなかったとコヤ所長と当時を振り返った。

 

現在のアーケードの位置づけをゲームをやるためにお客さんがくるわけではないとコヤ所長は言う。ショッピングセンターとその中のゲームセンターの売上が比例している事を挙げ、何かのついでに利用するのが現在のアーケード状況だと説明した。

コヤ所長は、アーケードにまつわる現状が良くなく、VR ZONEは「人を連れてこれるビジネスができることを証明したい」、「お客さんが自ら予約をして続きをやらせて欲しい」そんな熱意から実現したとその開発の根底を明らかにした。

水口氏の「流れは変わったと思います?」という質問に対して、コヤ所長は「お台場のVR ZONEの客層はVR開発者さんに支えられたり、情報感度の高いカップルが遊園地のように利用してくれた。今、『VR ZONE SHINJUKU』にきている人たちの8〜9割はPlayStation VRも知らない層だった」と比較した。

更に細かい話をすると、年齢性別で言うと20代前半から30代前半か6〜7割、男女比はほぼ一緒ではあるが女性が多い時もあるようだ。なお一人での来場者は全体の4%程だという。施設内の人気アクティブティに関しては『マリオカート』が1番人気で、次いで『エヴァンゲリオン』、『ハネチャリ」という順番だそう。

また『VR ZONE SHINJUKU』では新しいアクティビティである『ガンダム戦場の絆』に関しては従来のアーケードである戦場の絆のプレイヤーと初めて人がちょうど半々くらいだったようだ。当初絆のプレイヤーがリピーターと考えていたようだが、意外な結果だったようだ。
 

登壇者からVR ZONEへの質問はまだまだ続く。國光氏はSeoul VR Startupsなど韓国のゲームパブリッシャーと合併会社を設立するなど、韓国のVR業界への投資も行っている。

國光氏によると、現在韓国のロケーションVRでは、ネットカフェのような形態をしたVR施設と、ショッピングセンターにある1回500円程度を払っての体験と2種類にわかれているとのこと。当初はネットカフェ形態の方が優勢との論調があったそうだが、リピート率が良くないようだ。

そんな中、日本ではどうなっていくのかという質問だ。

コヤ所長は、「アーケードゲームはどんなものであっても100円。そういった状況が続いていて、VR ZONEはそこをリセットしたくて初めた」と語った。

『脱出病棟Ω(オメガ)』の価格設定においては、最高級の遊園地のお化け屋敷と同じクオリティにしている。そういう相場を作ろうと言って設計をしたそうだ。

遊園地はリピートが必要と言われており、バンダイナムコはゲームを作ってきているので、コンテンツでリピートしてもらう事は慣れているという。

結論しては、安いもので一時的な楽しさを提供するよりも、ゲームのクオリティを担保としたタイトルを提供し、リピートしてもらったほうが、消費者としては良いのではないかと分析した。

 


 

次の話題はここ3年ほどのVR業界の状況に関してだ。國光氏の見立てとして「想定通り売れてない」とかねてからの予想に現状が合致していることを明かした。

ロケーションベースのVRが増えることで、VRに触れる機会が増え楽しさは認知されているものの、本格的に普及するには家庭用機のデバイスが鍵になると説明した。

ではどうやって、家庭用のVRが普及していくか。國光氏は「1つはハードの価格、そしてもう1つはキラーコンテンツ」とした。

ハードウェアに関しては既に何を作ればいいかわかっていて、価格が500ドル以下、できれば400ドルを切ることと外付けのセンサーのないものを挙げた。

センサーに関して、國光氏は色々思う事があるようで、「普通の人は HTC VIVE をセットするのも難しい。出来たら奇跡です、僕も設置で諦めました(笑)」と語った。

先日発表になったOculus GOなど安価なVR HMDに触れ、性能はまだ中途半端であるものの200ドルくらいの価格のハードウェアが出てくると、恩恵受けるメーカーも増えてくると指摘した。

國光氏はDMMの売上が20億と言われる中で、年末から年始にかけて出てくる安価な一体型HMDの影響で売上は約10倍になるのでは、と見立てていた。

その一方でキラーコンテンツの存在だ。ハードウェアの進化と手頃な価格帯での普及が始まり、キラーコンテンツが登場するといよいよVRが流行るという。

國光氏は家庭用ゲーム機器でも『HALO』のためにXBOX買う、Nintendo Switchも当初『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の神ゲーで一気に普及したことを挙げ、VRも同じ状況になるだろうと考えを明かし、普及はキラータイトル次第なところまできているのではないかとした。

水口氏は、「VR市場は5年後くらいには、市場が立ち上がっていて、10年後には一般的に広く使っているみたいな絵を描いていると思う。ただ2018年は厳しいところもあるかな」と今後業界の動向を予想した。

これに対してコヤ所長も「ハイプ・サイクルですね」と頷いた。

ただし開発者としては、中途半端な状況でもプロダクトに挑戦してリリースしていかないといけない。我慢の時も出てくるので、本格的な普及期に向けて備える必要があると水口氏は呼びかけた。



 

話は、VRを使った表現の話題に。コヤ所長は、"VRは現実の代替"という点を大事にしており、当初はVRゲームを作ろうとは思ってなかったそうだ。ゲームはクリアと攻略という軸で開発しているため、その前提がある限りVR上でゲームを開発してもそのロジックにハマってしまうと語った。

VRの現実の代替という軸に対してどういうエンターテインメントが作れるかなと考えた時に、HMDだけでは無理だということがわかったそうだ。

触覚、風、振動など五感への様々な情報を統合してなんとか現実の代替えを成立させているのが今の状況だという。

「家庭用やソーシャルメディアでのアプローチもあるのかもしれないけど、エンターテイメントだけでやっていると、HMDのみだと表現としては自分たちにとっては苦しい」とした。
 


タミヤ室長も、ゲームはインプット/アウトプットの手段に制限がある。お約束を作り面白い状態を作るためにゲームのルールがあって、その結果「クリア」という目標を立てる。

だがVR体験をした時に一番感じたのは自由さだったという。VRによって行動できるスペースができたので、敢えてそこにルールを作るのはもったいないのではないか、というのがその主張だ。

体験者の行動でフラグが起こるという状態に重きをおいた方が新しいエンターテイメントを見つけられるのではないか、とそのスタンスを明らかにした。


 

水口氏は、『Rez』を作った時に今まで制約の中でクリエイティブやってきたので、制約のないところでのクリエイティブは非常に楽しいという。

解像度の問題はあれど、モニターという四角いフレームの呪縛を解かれ、3Dであることも含めて当時と比べて大きく飛躍していると話した。

またVRでの開発を行った知見から、「今までゲームは一人称だと思いこんでたけれど、一人称体験の再設計がある」と説明した。

映画は3人称の芸術で、演出家の意図を享受する。全然自分の体験じゃないのに、感動して泣いたりすることもある。

ではゲームで泣けるだろうか。水口氏曰く、「最初の頃のゲームは8bitでビープサウンドで泣けなかった。生理的に気持ちよくても泣く演出は入れることができない」と振り返った。

それがハードウェアの進化とともに、解像度が上がり『ファイナルファンタジー』でストーリーを入れ込むようになった。

そういった過程が過去にあった中でVRをやって思ったのは、1人称と3人称の間があるという視点だ。

これに関しては登壇者全員が思うところがあったようで、一同が声を上げて反応していた。
 


▲『Rez』ではこの人型の自機を操作する。 水口氏によると、まだ上手く説明できないとしながらも『Rez』を引き合いに語った。
 

通常VRであるならば、主観視点として表示されている自機を消せばいい。だが体験した結果自機を消さない方が良かったのだという。
自機の表示をなくすと体験者は不安になるというのがその理由だそうだ。自分が一体何であるのかがわからない。新しい環境に適応できない・進化していない感じがあって、そこはまだ人間には早い領域ではないかと思っているそうだ。(水口氏)

また水口氏は今までみたいな単純なストーリーテリング、体験じゃない新しいものが設計出来るかという点にも注目しているという。

コヤ所長曰く、VRは感情を揺さぶる力が凄くあると思っている。「ストーリーに感情移入して、悲しかったり喜んだりする時間をもっと圧縮できる可能性がある」、とこの先の方向性の一端を示した。今5分で泣かせる方法を考えているそうだ。

水口氏は「サンダンス映画祭で、VRは新しいストーリーテリングとして作品を展示している。映画的なものゲーム的なもの色々な技術を融合しながらもっと凄い領域へ持って行く必要があると強調した。

そして最後に水口氏は、「2001年宇宙の旅」や「ブレードランナー」などの特撮監督を務めたアメリカのダグラス・トランブル氏が、ショースキャンというシステムで映画館を変えようとしてハリウッドから干された話を披露した。

そのリベンジで作ったのがユニバーサルスタジにあるライド型のエンターテイメント『バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド』、僕達にもそんなガッツがないとねとセッションを締めくくった。


なお今回のイベントはYoutubeでも公開中だ。セッションごとにわかれており非常に見やすくなっている。

VRに興味がある人というだけではなく"先端技術やテクノロジーで生活が変わる事のおもしろさ"を信じている人は、是非とも見て欲しい。

 

VRコンソーシアム(Youtube)

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