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【年始インタビュー】ポケラボ創設者が作った家族向けVR施設『リトルプラネット』 未経験から施設運営を初めた新会社「プレースホルダ」に迫る

2018年01月03日 13時04分更新

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ポケラボの設立者が、新たに起業してVRやARを使った子供向けの施設を作っている。そんな話が2017年の1月頃に筆者のもとに届いた。

その後、2017年10月に東京・立川にある「ららぽーと立川立飛」において、アソビ」が「マナビ」に変わる"体験型知育デジタルテーマパーク"「リトルプラネット」をオープン。

アトラクションは、砂場にARを取り入れた『SAND PARTY!』、デジタルスプレーで壁に落書きをする『SPRAY PAINTING』、紙の塗り絵に彩った力士が画面上戦う『PAPER RIKISHI 』など、クラシカルな遊びに最新のテクノロジーを掛け合わせた施設となっていた。

本インタビューでは、「リトルプラネット」を運営しているプレースホルダ代表の後藤 貴史氏に、会社設立から今後の展開を聞いた。

 

■「多少のリスクを負ってでも、1から施設を作りたい」



 

株式会社プレースホルダ
後藤 貴史氏(写真)


ーー本日はよろしくお願いいたします。これまでの経歴と会社設立の経緯をお教えいただけますでしょうか。

ポケラボ設立したのが、2007年です。ポケラボでの最後に携わったタイトルは、『シノアリス』の原型になっているスマートフォン用ゲーム『サムライキングダム』でした。

2015年くらいからVR機器を見る機会が増えてきて、面白い世界だなと思っていたんです。そして機会があれば是非やりたいと。その後、『サムライキングダム』移管譲渡後の2016年4月に退職しています。

退職後はVRの施設などを回っていました。そこから自分のやりたい事をより具体化していったという流れですね。

ポケラボ時代からテーマパークを作りたいという想いがあって、構想としてはずっと持ち続けていました。

そしてイメージを作りながら同時にメンバー集めして、本格的に立ち上げたのが2016年の10月のことです。


ーーテーマパークを選択したというのがすごい決断だなと思いました。

私自身が、テーマパーク好きでよく行きます。そこに行くたびにテーマパークはアナログなハードが多いなと思っていて、「デジタルに置き換えていろいろな変化が起こる体験を作りたい」と漠然と考えていたんです。

2015年、「The Void」というVR施設のコンセプトムービーが公開された時に、テーマパークを作れるなと思ったのが大きなきっかけでした。

ポケラボも大きくなっていたのですぐに実行するのは難しい。でも自分の手でやりたいという想いが日に日に募っていきました。

多少のリスクを負ってでも、1から施設を作りたいという想いが抑えきれなくなって新たに会社を作ることにしたんです。


ーーポケラボ設立して、また起業している。根っからの起業家精神を感じます。

起業家精神、そういうところはあると思います。2008年、iPhoneが出たばかりだったとき世間の評価は「まだよくわからないもの」でした。

ポケラボ内ではリソースを避けない中、どうにか開発したかった(笑)

少人数で事業部を作り、試行錯誤している中で作ったタイトルがうまく軌道に乗ったので、スマートフォンへのシフトを行っていったんです。今回で言えばそれが仮想現実や拡張現実の世界に置き換わった感じですね。

私にとって新しい技術を使ってできないことができる、それが凄く楽しい行為なんです。後、人を集めて皆で形にしていくのというのも好きなんです。


ーー弊メディアはソーシャルゲームインフォというソーシャルゲームニュースサイトの姉妹誌です。業界の興隆はずっと見てきています。スマートフォンへの流れに乗り損ねて、苦労した企業が多くありました。iPhoneが出た時に、スマートフォンが主流になるという感触はあったのでしょうか。

スマートフォンが流行るかどうかは正直わかりませんでした。あの当時iPhoneは流行らないって言われてましたし。

「モバゲー」や「グリー」で多くのアプリがあり、そもそもiPhoneを持っている人がいない中で「本当に事業としてやるの?」というのが周囲の反応でしたね。

ただポケラボ創業時からモバイル一本でずっとやってきた中、そのノウハウはスマートフォンの世界でも通じると思っていました。

そういう意味では、"いける・いけない"というよりは、"できる・できない”で判断したんです。それなら「やってみようよ」って思ったんです。
 
 
ーーそこに起業家としての強さを感じます。会社設立時は1人だったんでしょうか?

最初は1人でした。知っているエンジニアを中心に声をかけていき、ポケラボ設立直後のメンバーでもあった鈴木匠太にもジョインしてもらいました。

その後、2017年5月の「品テクマルシェ on the GREEN 2017」というイベントで『SPRAY PAINTING』と『SAND PARTY!』を展示しました。

そのイベントでたまたま家族連れで遊びに来てくれた初対面のエンジニアが共感して入社しています。


ーープロダクトに共感した上で入社するのは会社として心強いなと思います。

ありがたいことに弊社の姿勢やプロダクトに共感して会いに来てくれるので、社内的なアンマッチも起こっていないんですね。そういう意味では運が良かったと思っています。

人財に関しては最初の9人は今後のマネージメント層にもなるので、凄く大事です。私たちは「ベストナイン」って呼んでいるんですけど(笑)


ーー(笑)

最初に組織図を作っておいて、そこからデザイナーが何人、どういうスキルがあって、どんな性格であるかというのを並べた時に、今いるメンバーはほぼ自分たちが理想とする能力を持っていました。

また性格もマッチングした方にジョインしていただけたと思います。


ーー運の良さって自分ではどうにもなりませんよね。プロダクトの良さももちろんですが、後藤さんの引きの強さも凄いですね。

「品テクマルシェ on the GREEN 2017」では、他にもたまたま博報堂の人がプライベートで体験してくれて、結果的に博報堂のファミリーデーの催しに使ってもらうことになりました。

そこから話が進み、AR・VR領域における共同研究を開始もできました。


ーースタートアップと言うと投資先も重要な要素になると思います。資金調達で苦労っするといったことはなかったのでしょうか

ありがたいことに、資金調達に関してはお話をいただくことが多いです。なので、一緒にビジョンを持って進めていける方達から支援を受ける事ができていますし、今後もお金だけではないパートナーに近い関係で進めていきたいと考えています。


ーーイベントに出展して、開発者が入社し、博報堂と共同研究、資金も調達。すごく順調に進んでいるように見えますね。

実際、社内では人が足りなくて大変です。これだけの規模の運営をしているのにエンジニアは3人ですし(笑)

今回の施設ができたことで来場者様の反応や、どういうトラブルが起こるかも見えてきましたので、開発メンバーを増やして一気にグロースしていきたいと思っています。
 


ーー2017年10月25日にオープンして、来場者の反応はどうでしょうか

おかげさまで最初の目標である1ヶ月で5000人を超えることができました。ショッピングモールの性質上、土日に人が集中してしまいます。

いつ混雑するのか読めないこともあり、80分待ちのような状態になることもあります。

多くの方に来場していただけるのは嬉しいのですが、待ち時間でストレスがかかったりせずに、より多くの方が入場できるようにしたいという課題もできました。

メンテナンスの問題もあります。これに関しては今後の店舗数が増える事も見込んで、リモートで対応できるようにしています。

また、よく頂くお声としては、もっと運動したいという要望をいただきます。運動とデジタルを組み合わせたものはニーズが高いことがわかったので、実はもう作っているんです。

今は2号店を作る話もしているので、そういったオペレーションも含めてどう改善するか。アトラクションを増やしてクオリティの高いものをどう提供していくかという事を進めています。

施設のコンセプトとしては「子供だけではなく、大人も一緒に遊んで貰う」というのが念頭にあるんです。


ーー「リトルプラネット」で1番人気のアトラクションはどういったものでしょうか

『SAND PARTY!』が圧倒的に人気ですね。キッズデザイン賞もいただいていますし、いろいろな媒体で紹介していただいていることもあり、それを体験したいというのがあるのかもしれません。

12月にはアトラクションをクリスマス仕様に変更したり、そういう意味ではソーシャルゲームっぽいイベント運営をしています。イベントドリブンで、季節や記念日に合わせてアップデートしていきます。


ーー開発者にソーシャルゲーム関係者が多いというのも影響していそうですね。

最初からアップデートしやすいように基盤を作ったり、例えば砂場の広さを変えても、対応できるようにしています。

今、"サメ"のキャラクターが出ていても、翌日に新しいものを出すといったことは簡単にできます。


ーー中にあるアトラクションはどういったツールで開発しているのでしょうか

基本はUnityです。また施設内ではセンサーも扱っているので、そのデータをOpenCVを使ってUnityに組み込んでいます。

またアトラクションではありませんが、機械学習も進めたいと考えています。2号店、3号店と店舗が増えた時に、オペレーションの効率化は大事なポイントですので、人の手をできるだけ介さずに自動化できるかも重要視しています。


ーー店舗展開の話ですが、新たに都内に出展するんでしょうか

まだ地域でしか言えませんが、福岡、名古屋、あと海外からもお話をいただいています。基本は大型の商業施設の中での展開です。


ーー凄いスピード感ですね。

実は去年の段階で中国の企業からもお話をいただいていたんです。ただその段階では難しかったのでやむなくお断りすることになりました。

今回「ららぽーと立川立飛」で一つの形になったので、ようやく次のステップにいけるようになりました。

施設内のアソビに関しては言語をほとんど必要としていないので、ローカライズ部分は殆ど気にしなくて良いかなと思っています。重要なのは現地でのオペレーションになると予想しています。
 


ーーオペレーションというと、今「リトルプラネット」内で働いている方達は子どもたちに対してのプロフェッショナルが揃っていますね。

そうですね。今の開発スタッフはゲーム業界やIT業界の人間です。施設運用しようにもノウハウがありません。

私達がスーパーバイザーと呼んでいる、店舗オペレーターはそういった文脈で生きてきた人を採用しようと決めていました。

今2人いますが、1人は日本でも予約が取れないことで有名な子供向けの職業体験施設を立ち上げています。運営から採用まで幅広く行えるんです。

もう1人は幼稚園の先生を7年ほどやっています。幼稚園を退職した際にたまたま出会って、すぐに来てもらえないかとスカウトしました。


ーーやはり引きの強さを感じますね(笑)。事業にあたって重きをおいてるのはどんな部分でしょうか

運は良いと思っています(笑)

事業においては、アイデアだけなら誰でも出せると思っていまして、結局それを実際に作って形にするところまで持っていくことが大事だと思っています。

そのために人とお金をどうやって集めて、どうやって形にしていくかとった部分に時間を使っています。

これは今まで会社設立してきた経験が大きいですね。

また私たちはスタートアップなので、他があまりやっていないことをとにかく速く形にしていく。そこから失敗したり成功したりしながらノウハウを積み上げていけるかが大事だと思っています。

今回の事業はソーシャルゲームとは違い、いきなり急拡大する、いきなり売上が落ちるといったことはほとんどなく、じわじわ上げていく形になります。

パーク事業に関しては、新規アトラクションを開発しながら出店数と規模を大きくすることで積み上げていくイメージです。


ーー2018年の取り組みに関して教えてください。

もっと大きな規模のパークを作ることです。​2018年は場所も決まりつつあるので、ともかくやります。

また、何度来ても楽しさが継続できるようにスマホアプリと連動した仕掛けを開発していく予定です。

もう1つは『SPRAY PAINTING』や『SAND PARTY!』といったアトラクションのパッケージングです。

BtoBの問い合わせベースですが、あらゆるキッズスペース、クリニックなどからショールームに至るまで、そういった場所にデジタルアトラクションを提供していきたいと思っています。


ーー最後にメッセージをお願いいたします。

設立して1年が経ちました。おかげさまで店舗も増えていく予定ですが、開発メンバーが全く足りていません(笑)

「VRやARといったXR領域やセンサーなど先端技術に触れながら新しいものを作っていきたい」という方がおりましたら一緒にやっていきましょう。

そして、まだ「リトルプラネット」に来場されていない方は是非来ていただきたいと思います。子供との体験は私達が思っている以上に発見があるので、作ってる方も楽しいです。

できれば家族で一緒に遊んで欲しいと思います。

*「リトルプラネット ららぽーと立川立飛」は2018年1月31日までの期間限定運営となる。


ーーありがとうございました。

リトルプラネット

 

(取材・文・撮影 : 編集部 和田和也)
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